2012 Fiscal Year Annual Research Report
核酸医薬デリバリーにおける免疫活性化機構の解明とそのバイオ応用に関する研究
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23390012
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
際田 弘志 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (50120184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 竜弘 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (50325271)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | DDS / PEG / リポソーム / ABC現象 / Anti-PEG IgM / 免疫活性化 |
Research Abstract |
核酸は抗体医薬に次ぐ第三世代の医薬品として期待されている。実用化の鍵は送達キャリアの開発にあるが、臨床応用可能なキャリアの開発は進んでいない。これは、薬理効果の優劣によって評価が行われ、免疫反応などの相互作用に関する評価が行われていないためである。本研究では、既に我々が確認し、臨床的に問題となりうる、核酸・キャリア複合体投与時の初期免疫活性化(1.ポリエチレングリコール(PEG)に対する抗体(anti-PEG IgM)誘導亢進、2.炎症性サイトカインの分泌誘導(サイトカイン・ストーム))機構を明らかにし、臨床応用可能な核酸・キャリア複合体の開発を試みる事を主たる目的としている。当該研究期間において、以下のような成果を得た。 Anti-PEG IgM分泌誘導において、共存する薬物が大きな影響を与えることが明らかとなった。昨年度までの検討で、キャリアに搭載した核酸(siRNA)がanti-PEG IgMの分泌誘導を亢進させることを示したが、今年度の検討から、抗がん剤のオキサリプラチンを併用した場合、遊離型併用時にもanti-PEG IgMの分泌抑制効果が見られたが、キャリア内に封入した場合にさらに大きく抑制することがわかった。サイトカインの分泌も同時に評価したところ、同様に大きく抑制しており、オキサリプラチンが核酸のTLRを介した刺激をサイトカイン分泌及びanti-PEG IgM分泌の両面から抑制する事が示唆された。現実のがん治療では、多剤併用療法が一般的であり、今後の臨床応用に向けた重要な知見が得られたものと考えている。 また、悪性胸膜中皮腫皮下移植モデルにおいて、細胞増殖に係る酵素に対するshRNAと既存の抗がん剤を組み合わせて治療を行ったところ、極めて高い抗腫瘍効果を得ることができており、in vivo治療用核酸送達キャリアのデザインにも一定の目途をたてることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の初めに提示した研究計画に沿って順調に研究を進めることができており、得られた成果も当初計画通りであり、計画の大きな変更を特に要する状況にはない。したがって、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に関しても、当初の研究計画に沿って効率よく研究を行う。In vivo試験に関しては、新たに悪性胸膜中皮腫の同所移植モデルを立ち上げ、核酸医薬の胸腔内投与による新規治療法の開発も試みる。
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Research Products
(9 results)