2011 Fiscal Year Annual Research Report
TRPチャネルを経由した化学物質による接触感作促進(アジュバント)機構の解明
Project/Area Number |
23390031
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
今井 康之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80160034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒羽子 孝太 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90333525)
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 衛生 / 免疫学 / 薬学 / 神経科学 |
Research Abstract |
FITC誘導接触性皮膚炎マウスモデルにおいて、フタル酸ジブチル(DBP)がFITCに対する接触感作を促進すること(アジュバント作用)、およびDBPがTRPAIチャネルのアゴニストとして働くことを示して来た。TRPA1を強制発現させたCHO細胞にDBPを作用させると細胞内Ca^<2+>濃度の上昇が起こるが、TRPA1選択的アンタゴニストのHC030031はDBPの作用を阻害した。一方、HC030031をマウスに投与するとDBPのアジュバント作用が抑制された。シンナムアルデヒドやメントールなど既知のTRPA1アゴニストはFITCに対する接触感作を促進した。感作過程ではFITCを提示した樹状細胞(CD11c^+)の皮膚から所属リンパ節への移動促進が認められた。FITCの接触感作を促進したメントールはTRPM8のアゴニストとしても知られている。TRPM8の関与を検討するためTRPM8を安定発現させたCHO細胞株を樹立した。メントールは細胞内Ca^<2+>の濃度を上昇させたがDBPには作用を認めず、DBPのアジュバント活性にTRPM8が関与する可能性は低いと考えられた。ところでサプリメントとしてビタミンが日常的に摂取されている。ビタミンB_6の過剰摂取による知覚神経の障害が報告されてきた。DBPのアジュバント作用が知覚神経刺激を介するとすると、知覚神経の機能低下はFITCに対する接触感作の低下として観察される可能性がある。ビタミンB_6を過剰に含む飼料を摂取させたマウスでは、FITCに対する感作が低下した。所属リンパ節におけるサイトカイン産生の解析では、IFN-γの産生亢進によるTHI型への分極化が認められ、TH2型の応答を必要とするFITC誘導接触感作の低下と一致した。逆に、TH1型の応答を必要とするオキサゾロン誘導接触感作の場合、ビタミンB_6の過剰摂取状態で感作が促進された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
サプリメントのビタミンB_6過剰摂取における接触感作への影響については、当初は24年度以降の完成予定であったが、研究成果がまとまり原著論文として公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
接触皮膚感作における知覚神経の関与をより直接的に明らかにするため、TRPA1刺激の下流に位置すると考えられる神経ペプチドの影響を精査する。さらに、フタル酸エステル以外の代替可塑剤が開発され使用されている現状をふまえ、TRPA1刺激活性とFITCに対する接触感作促進作用を並行して調べる。
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Research Products
(4 results)