2012 Fiscal Year Annual Research Report
TRPチャネルを経由した化学物質による接触感作促進(アジュバント)機構の解明
Project/Area Number |
23390031
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
今井 康之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80160034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒羽子 孝太 静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90333525)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | アレルギー・ぜんそく / 衛生 / 免疫学 / 薬学 / 神経科学 |
Research Abstract |
種々のフタル酸エステルを比較し、試験管内でのTRPA1刺激活性(TRPA1を安定発現したCHO細胞を使用)とフルオレッセインイソチオシアネート(FITC)に対するマウスの接触感作の促進(アジュバント作用)の間に相関性を見出して来た。また、既知のTRPA1アゴニスト(シンナムアルデヒト、メントール、カルバクロール)がFITCに対する接触感作を促進すること示した。 メントールはTRPA1以外にTRPM8を活性化するため、TRPM8を安定発現させたCHO細胞株を樹立して、TRPM8活性化作用との関連性をさらに追求した。すなわち、FITCに対する接触感作を促進する活性のある様々なフタル酸エステルを用いて、TRPM8発現細胞内のCa2+の濃度を上昇させるかどうかを比較検討した。まず (1) TRPA1アゴニストのアリルイソチオシアネートやTRPV1アゴニストのカプサイシンにTRPM8刺激活性がないこと、(2)メントールやイシリンがTRPM8を活性化するが、TRPA1選択的アンタゴニストのHC-030031がTRPM8活性化に影響を与えないことから、実験系の特異性を確認した。次に、FITCに対する接触感作を促進する様々なフタル酸エステルを評価したところ、TRPM8刺激活性が認められなかった。従ってFITC接触感作に対するアジュバント活性にTRPM8が関与する可能性は低いと考えられる。 ところで、フタル酸エステルに代わる代替可塑剤が利用されている現状がある。そのうち、アジピン酸ジイソプロピルにTRPA1刺激活性を認め、選択的アンタゴニストHC-030031によって阻害された。さらに、アジピン酸ジイソプロピルはFITCに対する接触感作を促進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フタル酸エステルによるTRPチャネル刺激作用に焦点をしぼって、化学物質によるアジュバント作用のメカニズムを解明する研究を展開してきた。TRPM8との比較を行なうことで、特定のTRPチャネル(TRPA1)の選択的関与をさらに明確にできた。また、フタル酸エステルに限定せず、代替可塑剤にもTRPA1チャネルを経由したアジュバント作用を見出した点、衛生薬学的に重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
代替可塑剤のアジピン酸ジイソプロピルに試験管内でTRPA1刺激活性があることが明らかになり、さらにFITC接触感作の促進活性を認めた。その他の代替可塑剤として、セバシン酸ジイソプロピルの作用についても精査する。さらに、代替可塑剤によるアジュバント作用機構を明らかにするため、FITCを抗原提示した樹状細胞のトラフィッキング促進や、ヘルパーT細胞のTh2型への分極化促進について調べる。
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Research Products
(5 results)