2012 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子空間的転写モデルに基づいたCYP3A4代謝活性の個人差解明とその臨床展開
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23390035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
家入 一郎 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60253473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 豪 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80423573)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | CYP3A4 / 遺伝子空間的転写モデル / 個人差解明 / 臨床試験 |
Research Abstract |
これまでの検討から、CYP3A4遺伝子から5.2 Mbp離れた領域A(differentially methylation region)と5’上流域の領域Bの立体的近接をchromosome conformation capture法により同定した。領域AにおけるDNAメチル化状態がCYP3A4発現や立体的近接に関連していたことから、5-aza-2-deoxycytidineによる脱メチル化の影響を評価したところ、CYP3A4遺伝子の濃度依存的な発現上昇と同時に領域Bの濃度依存的アセチル化亢進を認めた。一方で多くのCYP3A4転写促進因子の発現は変動していなかった。また、ヒト肝において領域Aのメチル化と領域Bのアセチル化には強い負の相関を認めている。このことから、領域Aにおける脱メチル化が領域A-B間の立体的近接を引き起こし、それに伴いリクルートされた未同定のエンハンサーによりヒストンアセチル化が亢進したのではないかと考えられる。エンハンサー機能を担う因子を同定するため、領域Aの塩基配列から複数の転写因子を候補とし、候補転写因子のsiRNAによるノックダウンによりCYP3A4発現の大きな低下を認めた転写因子を同定した。領域AがCYP3A4発現を制御するメカニズムの解明と平行して、その臨床展開の可能性について検討を行った。ヒト血液中には各臓器由来のエクソソームが分泌することが知られている。我々はこれに着目し、ヒト肝特異的膜蛋白を利用したヒト肝由来エクソソームの分取ならびに同エクソソームからのゲノムDNA抽出、メチル化解析を行った。その結果、ヒト血液からの肝由来エクソソーム分取、メチル化状態の同定を可能とするプロトコールを確立することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では平成24年度に以下の項目について検討する計画であった。 ・相互作用検証(平成23~24) ・転写因子解析(平成23~24) ・メチル化・アセチル化と活性相関(平成24~25) 【研究実績の概要】において記述したとおり、「相互作用検証」と「メチル化・アセチル化と活性相関」については解析結果を得ることが出来た。特に「メチル化・アセチル化と活性相関」については計画を前倒して終了することができた。一方転写因子解析は候補因子の絞込みは行うことが出来たが当該因子の直接的な作用の検証には至っていない。以上より全体の研究進捗状況としてはおおむね順調であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では平成25年度は「メチル化・アセチル化と活性相関」ならびに「臨床試験」を計画していたが、【現在までの達成度】に記述したとおり「メチル化・アセチル化と活性相関」については終えているので以下の項目を推進する。 I. 転写因子解析 エンハンサー機能を持つ候補転写因子の絞込みを終えたので当該転写因子の領域Aとの結合をchromatin immunoprecipitation assayにより行う。同時にメチル化による転写因子の結合阻害についても検討を加える。 II. 臨床試験 前年度確立したプロトコールに基づき、領域Aのメチル化頻度をバイオマーカーとしたCYP3A4代謝活性についての臨床試験を行う。基質薬物としてミダゾラムを予定しており、血中肝由来エクソソームから抽出したゲノムDNAをメチル化定量の対象とする。
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