2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390048
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
瀧口 正樹 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40179578)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩瀬 克郎 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80322030)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 生物時計 / 時間生物学 / 行動学 / 時計遺伝子 / 概日リズム / シグナル伝達 / 遺伝子発現制御 |
Research Abstract |
セクレトグラニンII遺伝子(Scg2)はセクレトニューリンをはじめ数種類の神経ペプチドをコードする。以前より,我々が世界に先駆けて作成したScg2 ノックアウト(KO)マウスは恒明条件下で26.1時間周期の概日行動リズムを示し,対照マウスの25.3時間に比し周期の延長が見られることを明らかにした。一般に,Scg2 KOマウスでは概日・日周行動リズムの光応答性が亢進しているものと考えられ,その検証を行った。 (1)光パルスに応答した位相変位の解析: マウスを12:12明暗サイクル[点灯時をZeitgeber Time (ZT) 0時,消灯時をZT12時とする]にて2週間飼育後,暗期の特定時に350 lx,15分間の光照射を行い,以後恒暗条件下で飼育した。光照射後6日から15日までの行動開始時点の回帰直線を1日目に外挿し位相変位時間を求めた。以前より,暗期終期(ZT22時)の光照射により,野生型(3匹)では1.2時間,Scg2 KOマウス(3匹)では3.0時間の位相前進を示すとの予備的知見を得ていた。今回,対照群(野生型,ヘテロ接合型),Scg2 KOマウス各4匹を追加し,これを確認した。さらに,暗期初期(ZT14時)の光照射による位相後退がScg2 KOマウスでより強いとの予備的知見を得た。今後,ZT16,18,20時の各点についても検討する予定である。 (2)昼行性に対する枠光周期の効果の解析: 本来マウスは夜行性であるが,Scg2 KOマウスには昼行性を示す個体が散見される。その原因解明のため,3 : 8.5 : 0.5 : 12明暗明暗サイクルの効果を調べた。枠となる3時間と0.5時間の明期に挟まれた8時間の主観的昼における行動量に著減が見られ,昼行性は光刺激応答性と考えられた。なお,昼行性はヘテロ接合型にも見られることがあり,今後,遺伝子型との関連の解析が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Scg2 KOマウスで見られる恒明条件下での概日行動リズム周期の延長が,光応答性の亢進に起因するとの仮説の検証を進めた。その結果,暗期の光パルスによる位相変位がScg2 KOマウスでは亢進していることを明らかにした。また,Scg2 KOマウスに散見される昼行性が枠光周期により補正されることを示した。これらの結果は,Scg2 KOマウスにおいて光応答性が亢進しているとの見解に合致し,仮説の証明は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
Scg2 KOマウスにおいて概日・日周行動リズムの光応答性が亢進しているとの仮説の検証をさらに進める。 (1)光パルスに応答した位相反応曲線の解析:これまでに,Scg2 KOマウスでは暗期終期(ZT22時)の光照射による位相前進が亢進していることを示し,暗期初期(ZT14時)の光照射による位相後退も亢進しているとの予備的知見を得ている。今後,ZT14時の光照射の結果を確認するとともに,ZT16,18,20時の各点についても検討する。ZT14,16,18,20,22時の各点に対してリズム位相変位量をプロットし,位相反応曲線を作成する。対照マウスとの比較を行い,Scg2 KOマウスにおける光同調性の特性を明らかにする。 (2)明暗サイクル位相変化後の再同調の検討: マウスを12:12明暗サイクルにて2週間飼育後,明暗サイクル位相を6時間前方あるいは後方に変位させ,行動リズム位相の明暗サイクル位相への再同調に要する日数について遺伝子型間の比較を行う。この際,6時間の前・後方への変位は,明期と暗期の終点双方について行う。Scg2 KOマウスにおいて,対照マウスに比べ,再同調に要する日数に短縮が見られた場合,光応答性が亢進しているものと判定する。
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Research Products
(1 results)