2011 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性惹起因子・改善因子による生体内幹細胞機能への影響
Project/Area Number |
23390056
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
今村 武史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (00552093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (50106647)
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Keywords | 再生医療 / iPS細胞 / 幹細胞移植 / カニクイザル |
Research Abstract |
本研究計画の目的は、インスリン抵抗性状態下において幹細胞機能障害が生じており、それに対してω-3脂肪酸受容体GPR120活性化が改善作用を示すという仮説を検証することである。カニクイザル皮膚線維芽細胞由来iPS細胞を用いて、インスリン抵抗性惹起因子負荷が生体内移植iPS細胞機能に与える影響を確認するとともに、GPR120活性化による移植ips細胞機能への効果を定量評価することが最終目標であるが、本年度(第一年次)の計画は以下のように実施した。 1)カニクイザル幹細胞活性レポーターips細胞株の樹立とin vitroでの幹細胞機能解析 転写活性レポーターとして、ルシフェラーゼアッセイベクター(Promega)を用い、脂肪細胞への分化活性定量目的にPPAR-Yの認識配列を、血管内皮前駆細胞への分化活性測定目的にはCD34遺伝子の上流68bpを組み込んだ。各々のベクターをカニクイザルiPS細胞に導入し、抗生剤耐性を利用して幹細胞活性レポーターiPS細胞を樹立した。この細胞に、培養条件下でインスリン抵抗性惹起因子(IL-6、TNF-alpha)附置、あるいはGPR120アゴニストdocosahexaenoic acid (DHA)附置を行い、幹細胞機能の変化を測定した。その結果、IL-6、あるいはTNF-α附置では、負荷日数に応じたPPRE依存性転写活性の低下が認められ、逆に、未分化マーカーのmRNA発現が亢進した。また、DHA負荷によってもPPRE依存性転写活性の低下が認められたが、細胞増殖能の亢進が認められた。以上のように、カニクイザル幹細胞活性レポーターiPS細胞株の樹立に成功し、インスリン抵抗性関連因子の負荷による影響を培養条件下で定量評価することが可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、カニクイザルips細胞を用いた幹細胞活性レポーターips細胞株の樹立に成功した。この細胞株を用いて、各種インスリン抵抗性関連因子が幹細胞に与える影響を培養条件下で定量評価することが可能であることを実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように第1年の研究計画を順調に進めることができたため、今後、樹立に成功した幹細胞活性レポーターiPS細胞をカニクイザル生体内に移植する実験計画を進める。問題点として、移植免疫回避のために使用予定であるMHCホモ、あるいはヘテロ・カニクイザルの頭数がまだ十分に揃っていないことが挙げられる。対応策として、免疫隔離カプセルを用いるなど、通常のカニクイザルを使用できる生体内幹細胞移植法を検討する。
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Research Products
(1 results)