2012 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞内シグナル伝達に着目したウイル感染対策基盤
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23390090
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大場 雄介 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30333503)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / エンドサイトーシス / ウイルス感染 |
Research Abstract |
昨年度までにRas-PI3Kの結合とその上流因子である細胞内Caに加え、RhoファミリーGタンパク質群や複数のフォスフォイノシタイドがウイルス感染を制御するシグナルネットワークに関与するというデータが蓄積されていた。本年度は、これら個々のシグナル伝達要素活性化・不活性化の分子機構を、ウエスタンブロッティングなどの生化学的実験とGFPやFRETを用いた蛍光バイオイメージング手法により時空間的に解明した。その結果、それぞれの詳細な機能連関についても理解が進み、ウイルス感染に惹起される「シグナルネットワーク」とも呼べるシステムの全貌を明らかにする事が出来た。本研究成果は学術雑誌に論文を投稿中である。 また、上記の研究から派生し、上記シグナルネットワークに関連する細胞表面分子群を新たに同定した。これら因子群の絞り込みの結果、ウイルス受容システムのトリガーとなりうる細胞表面分子の候補になる、あるファミリー分子群の発見に至った。実際この分子は細胞膜タンパク質であり、かつ細胞外部分がシアル化されることも確認済みである。すなわち、本分子は複数存在する細胞側ウイルス粒子結合タンパク質の中にも、感染のキーとなる最重要分子である可能性が高く、本年度の計画通り、当該因子の同定を達成したといえる。 一方、新規エンドサイトーシス制御因子の探索として、PI3K上に存在し、ウイルス感染およびエンドサイトーシス抑制効果のあるペプチドについて、その結合タンパク質のスクリーニングに着手し、2つの独立したスクリーニング系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記3つの研究項目のうち、前者2つについては当初の計画通りまたはそれ以上の進展であった。第3項目については、年度内に候補因子のリストアップを終了予定であったが、現在リストアップをしている段階である。1ヶ月ほど予定より遅れているものの、全体研究期間からみると大きな影響の出る遅れではない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は概ね当初の計画通り進んでおり、ウイルス粒子認識タンパク質群についてはファミリー分子群から最重要分子の絞り込みを行った後、機能解析を行う。エンドサイトーシス制御因子についてはスクリーニングの後、候補因子群の確認と絞り込みを行い、それぞれの因子について個別に機能解析を行う予定である。
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