2011 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜免疫により産生される粘膜分泌型抗インフルエンザ抗体の交叉防御機構の解析
Project/Area Number |
23390119
|
Research Institution | 独立行政法人医薬基盤研究所 |
Principal Investigator |
岡本 成史 独立行政法人医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, プロジェクトリーダー (50311759)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 博司 独立行政法人医薬基盤研究所, 研究員 (30343304)
|
Keywords | インフルエンザウイルス / 粘膜免疫 / IgA抗体 / 交叉防御 |
Research Abstract |
インフルエンザワクチンの経鼻接種は、粘膜表層への抗インフルエンザIgA抗体の産生を誘導し、インフルエンザウイルス感染における交叉防御効果に関与すると考えられている。しかし、実際に抗インフルエンザIgA抗体がこの交叉防御効果に関与する直接的な証明はほとんどなされていない。そこで我々は、抗インフルエンザIgAモノクローナル抗体(IgA mAb)を作成し、同抗体による交叉防御効果への直接的な関与の可能性について検討を行った。 A/Hiroshima/52/2005株(広島株;H3N2)ないしA/Solomon Islands/3/2006株(ソロモン株;HIN1)由来のインフルエンザヘマグルチニンワクチンをBALB/cマウスに経口接種し、免疫後に脾臓リンパ球とSP2/0細胞とフュージョンさせることによりハイブリドーマを作成し、その中から抗インフルエンザIgA mAbを産生するハイブリドーマを選択、保存した。選択されたハイブリドーマから産生されるIgA mAbについて、ウイルスに対する交叉反応性をELISA法ならびに中和抗体測定法により検討したところ、同じ亜型内の変異株に対する交叉反応(中和を含む)を示した。さらにこの抗体の中和反応を示す亜型内の変異株に対してin vivoでの交叉防御効果を示した。以上の結果は、IgA mAbが実際に同じ亜型内の変異株に対する交叉性防御効果に直接関与することを示唆するものである。一方、IgGmAb抗体も採取したが、同抗体もIgAmAb同様に交叉防御効果を示すことを見出し、現在、その性状について検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は、粘膜免疫よりモノクローナル抗体を採取し、その交叉防御効果の是非とその性状について検討することが目的である。そして、予定通りIgAおよびIgGモノクローナル抗体を複数採取し、その交叉防御効果の範囲と性状について解析できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の検討課題として、交叉防御効果を示すモノクローナル抗体がIgAのみならず、IgGにもみられることを明らかにしたことから、今後、両抗体の交叉防御効果の機能についての相違を明らかにする必要がある。そのため、抗体の認識する部位と抗体の構造についての相違などについて検討を進める予定である。
|
Research Products
(9 results)