2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390132
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
中塚 幹也 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (40273990)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟屋 剛 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20151194)
上田 紀行 東京工業大学, リベラルアーツセンター, 教授 (40211768)
小河 達之 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助手 (10346421)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 死後生殖 / 凍結保存 / 配偶子 / 受精卵 / 性腺 / 死後認知 / 癌 / 卵子提供 |
Research Abstract |
癌治療と生殖医療の進歩に伴い,パートナーの死後,凍結保存された精子,卵子,受精卵を用いた生殖補助医療により妊娠,出産する「死後生殖」が社会的関心となっている.死後生殖の背景にある配偶子・性腺の凍結保存技術に関して,癌の女性やパートナーのいない未婚女性が将来の妊娠に備えて卵子保存を行う際の課題,また,他にも第3者の卵子提供を行うという選択肢を持つべきかなどの課題を明らかにし,社会的議論を行ない,生命倫理政策形成に寄与する提言を行う. H24年度は,産婦人科1,157施設の代表者への第1次調査の結果(回答415施設)を解析した.悪性腫瘍男性の精子凍結保存は未婚・既婚とも約80%,悪性腫瘍女性の既婚者の胚凍結保存は81.0%,卵子凍結保存は未婚者は81.9%が「倫理的に問題ない」と回答した.「実際に行う可能性がある」も各25~35%と高率であった.これに対して,悪性腫瘍の男性への精子提供では50.2%,悪性腫瘍の女性への卵子提供では39.9%が「倫理的に問題ない」としており.約9%が「実際に行う可能性がある」と回答した. 悪性腫瘍男性の死後に凍結保存精子を使用して生殖医療を行うことも20%の施設代表者が「倫理的に問題ない」とし,3.6%の施設は「自身の施設で行う可能性がある」とした.実際に2.9%の施設で,死後生殖を希望する患者が来院しており,1施設で実施されていた. 結果の一部は学会,講演会,公開セミナーなどで報告し,新聞発表(共同通信,毎日新聞,日経新聞,西日本新聞,山陽新聞など)も行った.また,白血病などの血液疾患への治療を扱った医学雑誌や専門書,がん看護の専門書に論文を掲載,または,掲載予定である.現在,医療スタッフへの第2次調査を終了し解析中,また,一般人への第3次調査を行っている.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内での調査を行い,実際に生殖医療を行っている医師の配偶子凍結,死後生殖などの意識調査とともに,さらに進んで,現実に行われている事例の実態調査や付随して発生する「精子提供」「卵子提供」の問題についても全国調査を行い,これらの結果を新聞等で公表した.また,実際に生殖医療を行うことを決定する医師のみではなく,直接は関連がないもののある程度の知識はある医療スタッフへの第2次調査も解析中であり,現在,一般人への第3次調査を順調に行っている. 海外への聞き取り調査も,欧米の研究者に加え,イスラム圏の研究者への意見交換を広げている.
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の研究で明らかになった配偶子凍結,第3者配偶子提供,死後生殖などに関する日本における全国調査結果をもとに,さらに,これらに関する意見も含めて当事者や各方面の識者へのインタビューを進めていく. また,これらをまとめて報告書を作成するとともに,これらのデータを提供して.公開シンポジウムや報道への発表などを行い国民的な議論を促進する.そして最終的に政策提言を行う.
|
Research Products
(11 results)