2012 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトP2X4受容体の3次元構造を基盤とした神経障害性疼痛抑制分子の探索
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23390155
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
植田 正 九州大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90184928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白石 充典 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00380527)
田中 宏幸 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (30253470)
阿部 義人 九州大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (60315091)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 抗体 / 蛋白質工学 / 神経障害性疼痛 |
Research Abstract |
H23年度3次元構造を持つヒトP2X4受容体の細胞外ドメインを抗原としてマウスに対して免疫し、定法によりハイブリドーマを作成した。それらの中から18個をクローニングしたので、今年度はヒトP2X4受容体の細胞外ドメインの欠損変異体を10種類作成し、18のモノクローナル抗体のエピトープを同定した。その結果、18のモノクローナル抗体はヒトP2X4受容体の異なる5つの領域に結合するタイプに大別するできた。この結果は、3次元的な構造を持つP2X4受容体の細胞外ドメインに対して、マウス体内で異なる結合様式の抗体が産生していることを示唆していた。一方、同様の抗原を用いて、自己免疫疾患マウス、P2X4ノックアウトマウスを用いて抗体を作成し、定法によりハイブリドーマを作成した。 既に我々が調製したラットP2X4受容体の細胞外ドメイン内でATP結合領域(P2X4受容体は3量体の膜結合蛋白質で、サブユニット間にATP結合部位が存在すること、ATPが結合することでその構造が変化しカルシウムの細胞内への取り込みが行われることが報告されている)に隣接するヘッドドメインに特異的に結合する抗体について特徴付けを詳細に行い、一連の結果を論文として発表した。 H23年度我々はヘッドドメインの溶液構造がX線結晶解析の結果とほぼ同一の折れたたみ構造を持つ事を明らかとしている。そこでヘッドドメインに対する抗体を作成するため長期間にわたりマウスに免疫を行ったが、抗体価は上がらなかった。 ヘッドドメイン領域に金属イオンが結合することにより、ヒトP2X4受容体の機能の向上や低下が報告されている。そこでNMRを用いて金属イオンがヘッドドメインのどのアミノ酸周辺に結合するのかを同定した。今後、滴定型熱量計での金属イオンとP2X4受容体との結合力等の評価により、P2X4受容体の生理機能に及ぼす金属イオンの影響を考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3次元構造を持つP2X4受容体に対する抗体が産生することを明らかとし、その一部を今年度報告した。また、3次元構造を持つ抗原蛋白質の種々の部位にモノクローナル抗体が結合することを明らかとした。さらに、P2X4受容体の生理活性に関与する金属イオンの効果についてNMRを用いて解析した。このように順調に成果が出ている。しかし、疼痛抑制分子がまだ見いだされていない現状を踏まえて評価は(2)とした。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元構造持つ蛋白質対して多様な抗体が産生することが明らかとなったが、P2X4受容体の機能抑制分子の発見には至っていない。この結果は3次元構造を持つ蛋白質抗原をマウスに免疫することで、種々の抗体を作成することはできるが、抗原の構造が野生型と異なっているため、特定の部位(ATP結合部位など)を認識する抗体をスクリーニングできないことが原因ではないかと考察している。そこで、今後は、野生型構造を持つP2X4受容体を酵母などを用いて発現し、クローニングしたモノクローナル抗体のエピトープが変動するかどうかを解析する。変動した場合は、P2X4受容体のATP結合領域のアミノ酸変異体を調製して、ATPのP2X4受容体への結合を阻害するモノクローナル抗体の選別を行う。
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Research Products
(3 results)