2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390156
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
古江 秀昌 生理学研究所, 生体情報研究系, 准教授 (20304884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 尚三 九州大学, 医学研究院, 教授 (10325524)
深澤 有吾 名古屋大学, 医学研究科, 准教授 (60343745)
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Keywords | 脳・神経 / 痛み・鎮痛 / シナプス / 神経科学 / 青斑核 / ノルアドレナ / チャネルロドプシン / 神経回路 |
Research Abstract |
本来生体に備わる痛みを中枢性に制御する内因性抑制系、特に脳幹青斑核から下行性に制御される脊髄痛覚抑制機構に着目し、以下の点を明らかにした。 1)青斑核からのin vivoパッチクランプ法を用い、生理的な刺激によって誘起される応答をシナプスレベルで解析した。記録細胞は、電極内に添加したneurobiotinにより記録細胞を染色し、ノルアドレナリンの合成酵素との2重染色や記録電極先端の位置から同定した。青斑核ニューロンは数ヘルスの自発性の発火を伴い、皮膚への痛み刺激によってその発火頻度を一過性に上昇し、その後抑制する2相性の応答を示した。その発火頻度上昇には緩徐な内向き電流が関与し、興奮性および抑制性シナプス入力は関与しないことが明らかに出来るなど、青斑核の作動原理を明らかにした。 2)レンチウイルスを用いてチャネルロドプシンを青斑核ニューロンに発現する動物の作出に成功した。チャネルロドプシンを発現する細胞は青斑核に限局し、その細胞はノルァドレナリンの合成酵素と共発現した。光依存性に青斑核ニューロンの活動をコントロール出来ることを脳幹スライス標本にて確認・評価し、光依存性に青斑核ニューロンの発火頻度が上昇した。作出した動物は、光で青斑核ニューロンを選択的に活性化できるため、次年度以降の下行性痛覚抑制機構の全容解明のみならず、慢性疼痛に対する新規治療法・下行性抑制系に作用する鎮痛薬の開発に極めて有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
青斑核からのin vivoパッチクランプ法による下行性抑制系起始核の動作原理を明らかにして、国際雑誌や学会などに報告し、また、本研究の遂行に重要な青斑核ニューロンの活動が光で操作できる動物の作出にも成功するなど、当初の目的が極めて順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
順調に進展しているため、当初の目的・計画の通りに研究を遂行する。
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Research Products
(22 results)