2012 Fiscal Year Annual Research Report
FGF2とVEGF遺伝子の新たな機能:機能性RNAによるアバスチン抵抗性の誘導
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23390198
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
近藤 茂忠 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任助教 (40304513)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | VEGF / FGF2 / non-coding RNA / がん / 腫瘍血管新生 |
Research Abstract |
本研究では、VEGF標的薬と抗がん剤により活性化される「悪性腫瘍化RNAプログラム」を解明し、このプログラムによるがん細胞と腫瘍間質細胞の悪性化の全容解明を目的とする。本年度に実施した研究の成果は以下である。 Vegf ncRNAとFgf-2 ncRNAによる「p53腫瘍抑制システム」の破綻ががん細胞の悪性形質変化に及ぼす影響について解析した。その結果、p53により誘導されるアポトーシス促進遺伝子(Bax, PUMA, Noxa)の発現が抑制されており、各種抗がん剤(5-FU, irinotecan, etoposide, doxorubicin, cisplatin)および低酸素によるアポトーシスが著しく低下していた。一方、p53により発現が抑制されている血管新生促進遺伝子(VEGF, HIF-1a, EG-VEGF, Endoglin, FGF-2, FGF-BP1, Cox-2)の発現が有意に増加していた。 がん幹細胞様形質については、大腸がん幹細胞マーカー遺伝子であるCD133とCD166の発現増加が認められた。さらに、がん幹細胞様形質の1つであるスフェロイド形成能がコントロール細胞に比べ30倍以上亢進していた。 これらin vitroでの悪性形質化に一致して、ヌードマウス皮下移植腫瘍はアバスチン、5-FUに対する抵抗性を示した。腫瘍を免疫組織科学学的に解析した結果、アバスチンや5-FU処理をしたにも関わらずアポトーシス細胞が著しく少なく、一方、腫瘍新生血管が多い結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で計画していた、慢性的にVEGFシグナルを欠乏させたヒト大腸がん細胞モデルを構築するのに予定以上の時間がかかってしまったため。細胞モデルは本年度中に構築できたので、計画していた解析は平成25年度に行なう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の今後の推進方策については、平成24年度で完了できなかったVEGF欠乏ストレスと低酸素ストレスの相互作用による癌幹細胞様形質の誘導についての解析を行なう。また、当初予定通りヒト大腸がん組織における解析を重点的に検討する予定である。
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