2012 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロRNA-33a/bによるHDLコレステロール制御機構の解明と治療への応用
Project/Area Number |
23390211
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
尾野 亘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00359275)
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Project Period (FY) |
2011-11-18 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロRNA / HDL-C / 動脈硬化 |
Research Abstract |
miR-33欠損マウスにおいては血中HDLコレステロールがオスで22% メスで39% 増加していたが、実際にこのHDLの上昇が動脈硬化病変の改善につながるかどうかを、動脈硬化を呈するモデルマウスとの交配実験によって検討した。miR-33とApoeダブルノックアウトマウス(miR-33-/-Apoe-/-)においては HDL-C が上昇し、この血清はコレステロール引き抜き能がmiR-33+/+ Apoe-/-マウスに比し上昇していた。miR-33-/- Apoe-/-の腹腔内マクロファージにおいてはABCA1、ABCG1発現とも上昇し、ApoA-I とHDL-C によるコレステロール引き抜き能がmiR-33+/+ Apoe-/-より上昇した。また、遊離コレステロールによるアポトーシスにも抵抗性であった。この結果、コレステロール含有食負荷miR-33-/- Apoe-/-においてはプラークのサイズと脂質蓄積量、CD68陽性細胞数、CD3陽性細胞数、VCAM-1発現面積、iNOS陽性面積が低下した。また、血球系細胞におけるmiR-33の働きを調べるために、miR-33+/+ Apoe-/-あるいは miR-33-/- Apoe-/-の骨髄をApoe-/-マウスに移植したところ、 miR-33-/- Apoe-/- の骨髄を移植したマウスにおいてはHDL-Cの上昇なしに、動脈硬化巣内の脂質蓄積量が低下した。miR-33-/- Apoe-/- のマクロファージにおいては、ABCA1 及びABCG1発現が多く、遊離コレステロール負荷に抵抗性であることが、動脈硬化病変の進行抑制、さらにプラーク安定化にも影響を与えうると推察された。 また、Srebp1のイントロンにmiR-33bをノックインしたマウスを作成した。今後、miR-33a/b系の生体での働きについて検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、1)我々の作成したmiR-33(miR-33a)欠損マウスの解析を行うとともに、2)ヒトでの病態を解析するために、miR-33bをSrebp1にノックインしたマウスを作成することを目標としている。1)については、miR-33欠損の効果を、動脈硬化を呈するモデルマウスとの交配実験によって検討した。miR-33とApoeダブルノックアウトマウス(miR-33-/-Apoe-/-)においては HDL-C が上昇し、この血清はコレステロール引き抜き能がmiR-33+/+ Apoe-/-マウスに比し上昇していた。miR-33-/- Apoe-/-の腹腔内マクロファージにおいてはABCA1、ABCG1発現とも上昇し、ApoA-I とHDL-C によるコレステロール引き抜き能がmiR-33+/+ Apoe-/-より上昇した。また、遊離コレステロールによるアポトーシスにも抵抗性であった。この結果、コレステロール含有食負荷miR-33-/- Apoe-/-においてはプラークのサイズと脂質蓄積量、CD68陽性細胞数、CD3陽性細胞数、VCAM-1発現面積、iNOS陽性面積が低下した。また、miR-33-/- Apoe-/- の骨髄を移植したマウスにおいてはHDL-Cの上昇なしに、動脈硬化巣内の脂質蓄積量が低下した。miR-33-/- Apoe-/- のマクロファージにおいては、ABCA1 及びABCG1発現が多く、遊離コレステロール負荷に抵抗性であることが、動脈硬化病変の進行抑制、さらにプラーク安定化にも影響を与えうると推察された。 また、Srebp1のイントロンにmiR-33bをノックインしたマウスを作成した。今後、miR-33a/b系の生体での働きについて検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、上記の研究において、さらに心血管系におけるmiR-33の働きを解明していく。具体的には、動脈瘤や心肥大における働きについて詳細な検討を行う。具体的には、高濃度(0.5M)の塩化カルシウム容液を大動脈壁に塗布し炎症を惹起させると大動脈瘤が形成される。このモデルをmiR-33+/+とmiR-33-/-に作成し、病変の差異を評価する。さらに、胸部大動脈縮窄(Thoracic aortic constriction; TAC)モデルによる心肥大・心不全モデルの作成を行う。miR-33およびABCA1は心臓においても発現量が多く認められる。代表的な心肥大・心不全モデルであるTACモデルマウスでは、心肥大期においてすでに炎症反応の亢進と線維化が認められる。このモデルをmiR-33+/+とmiR-33-/-において作成する。予備的検討においては、miR-33欠損マウスにおいて、心機能の改善傾向を認めている。さらに詳細な分子機構を検討する。 また、miR-33bノックインマウスにおいて、絶食・再摂食によるSrebp1およびmiR-33b発現変化について検討する。次に、高脂肪食負荷、ob/obマウスとの交配により、肥満モデルを作成する。血中脂質のプロファイル、およびmiR-33の標的遺伝子の変化について解析する。さらに、miR-33bノックインマウスおよびmiR-33欠損マウスとの比較実験によって、ヒトのmiR-33a/bがある場合と完全にない場合の病態および脂質プロファイルの差異を検討する。また、ApoEノックアウトマウスとこれらのマウスの交配実験によって、動脈硬化病変の違いについても検討を行う。 以上の検討を通じて、イントロン性miR-33a/bの働きを宿主遺伝子の動きとともに解析し、新規の動脈硬化抑制法の開発につなげるべく、精力的に研究を推進する。
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[Journal Article] Metastasis-associated protein, S100A4 mediates cardiac fibrosis potentially through the modulation of p53 in cardiac fibroblasts.2013
Author(s)
8: Tamaki Y, Iwanaga Y, Niizuma S, Kawashima T, Kato T, Inuzuka Y, Horie T, Morooka H, Takase T, Akahashi Y, Kobuke K, Ono K, Shioi T, Sheikh SP, Ambartsumian N, Lukanidin E, Koshimizu TA, Miyazaki S, Kimura T.
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Journal Title
J Mol Cell Cardiol.
Volume: 57
Pages: 72-81
DOI
Peer Reviewed
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