2011 Fiscal Year Annual Research Report
小児固形腫瘍の発がん機構とがん幹細胞の体系的解析と新規治療法の開発
Project/Area Number |
23390269
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
滝田 順子 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00359621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真田 昌 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (20529044)
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Keywords | 神経芽腫 / 次世代シークエンサー / エクソーム解析 / ALK / 小児固形腫瘍 |
Research Abstract |
小児固形腫瘍の大部分は依然として予後不良であり、今尚、小児がん関連死の約70%を占める。小児がんは本邦における小児死亡の主要因となっていることから、難治性小児固形腫瘍の制圧こそ、少子・高齢化が進行している我が国において早急に取り組むべき緊急課題の一つといえる。そこで本研究では、難治性小児固形腫瘍の根治につながる新規創薬の開発を目指して、革新的ゲノム解析技術により、難治性小児固形腫瘍の発症とがん幹細胞(Cancer stem cell:CSC)を制御する分子情報を体系的た解析し、その発がん分子機構の解明を目指す。本年度は難治性小児固形腫瘍の代表である神経芽腫4例につき次世代シークエンサーを用いたエクソーム解析を行った。解析した4例中2例は再発例であり、初発時と再発時の分子病態の比較検討も行った。その結果、各腫瘍において2-15個の腫瘍特有の遺伝子変異を抽出した。これらの変異の中には細胞周期、ユキチン化、神経の分化に関与する転写因子などが含まれており、腫瘍の発症との関連性が示唆された。中でもALK変異陰性症例で検出された細胞周期関連遺伝子の変異に関して.さらに300例の神経芽腫での検証を行ったところ、約3%の症例でミスセンス変異やフレームシフト変異が見出され、標的分子の候補であると考えられた。また2例の再発症例ともに初発時の腫瘍で検出された変異はすべて再発時にも認められた。またそれぞれ再発腫瘍では、再発時に特有の遺伝子変異が2-3個検出された。これらの遺伝子は、エピジェネティックな制御に関与するもの、Wntシグナルに関与するものなどが含まれており、再発のメカニズムに重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
難治性小児固形腫瘍の代表である神経芽腫4例のエクソーム解析が終了し、候補遺伝子を複数検出できている。
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Strategy for Future Research Activity |
ユーイング肉腫、横紋節肉腫など他の難治性小児固形腫瘍の網羅的ゲノム解析を進める。また神経芽腫で検出された候補遺伝子につきさらに大多数の症例を持用いて検証を行う。その結果、有意なものに関しては、細胞株および動物モデルより抽出したがん幹細胞の検体を用いて、変異の状態を評価する。
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