2011 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸器疾患に伴う心血管疾患の検出、治療戦略構築へのポジトロン断層撮影法の導入
Project/Area Number |
23390294
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉永 恵一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (30435961)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 千恵次 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (10292012)
辻野 一三 北海道大学, 大学病院, 講師 (00344507)
真鍋 徳子 北海道大学, 大学病院, 講師 (70463742)
西嶋 剣一 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60364254)
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Keywords | 内科系臨床医学 / 放射線科学 |
Research Abstract |
肺高血圧症患者における検討においてはWHOクラス分類2,3の肺高血圧症患者27例(平均年齢44.8 歳, mean PAP (mPAP): 42.9 mmHg, PV resistance: 656.5)を対象に炭素11標識acetate PETにより右心室の心筋酸素代謝の検討を行った。また右室の容積、駆出率は心臓MRIにて解析を行った。肺高血圧症患者のデータは9例の健常者と比較を行った。患者群では右室の心機能が健常者よりも低下していた(RVEF P=0.04), 一方で左心室の心機能は両群に差を認めなかった( LVEF ,ns). 左室の心筋酸素代謝も両群で差を認めなかった(P=0.597). これに対して右心室の心筋酸素代謝は肺高血圧群で有意に上昇していることを明らかとした(P=0.010)。肺高血圧症では右心室の心筋酸素代謝亢進が心筋傷害の一因となることが示唆された。 また右室心筋の関心領域を自動的に設定するプログラムを開発し、再現性の高い計測が可能となった。 心サルコイドーシスにおける検討では心筋の炎症部位での心臓交感神経機能を計測するための基礎的準備を行った。炭素11標識HED PET/CTにて心筋局所および全体のretention indexを計測するプログラムを開発した。HEDによる計測は従来心臓交感神経機能計測の標準法とされているMIBG SPECTと相関があることを明らかにし、臨床的な妥当性の検証を行った。この計測法を今後心サルコイドーシスの病態解析に応用していくための計測基盤を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度進捗状況 平成23年度にて肺高血圧症患者を対象に右心室の酸素代謝の評価およびプログラム開発を当初の予定どうりに推進してきた。また研究成果については2011年米国核医学会にて右心室の解析プログラム開発について報告を行った。右心室の酸素代謝の臨床的意義について2011年に米国心臓病学会の学術集会にて発表を行った。 右心室における心仕事効率については現在最適なモデルを検討中であり、この点は次年度も継続した検討を進めていく予定としている。 心サルコイドーシスにおける心筋交感神経機能評価についてであるが、炭素11標識HED PETの健常者による初期検討を予定どうりに実施した。局所HED集積を定量的に評価することが可能となってきたため、今後心サルコイドーシス患者へ応用していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
肺高血圧症の研究は当初の画像解析技術の開発がほぼ終了したため、次年度から臨床評価、治療効果評価に向けて計画どうりに研究を進めていく予定である。今年度にまず肺高血圧症患者では右心室の心筋酸素代謝が過剰に亢進していることを明らかにしたので、更にカテーテル検査、心不全の生化学マーカーや臨床指標と対比を行い、代謝亢進に関する危険因子について検討を行っていく。 また予後規定因子ともなる右心室の心機能を自動的に計測するプログラムを酸素15標識一酸化炭素ガスを用いて開発していく予定としている。これらの技術開発を進めながら、同時に肺高血圧症に対する血管拡張薬療法の治療効果を評価するために治療強化予定群の症例エントリーを進めて行く予定である。 心サルコイドーシスに関しては心筋の局所炎症所見と交感神経機能異常の関連を検討するために診断確定例においてフッ素18標識FDG PET/CT,炭素11標識HED PET/CTの検査を遂行して行く予定としている。次年度はまずベースラインデータから心サルコイドーシスの病態解明をこれらの検査を用いて実施する。
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Research Products
(10 results)