2011 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的薬による新たな膵島移植法の開発:重症糖尿病の克服に向けた新戦略
Project/Area Number |
23390309
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 健一郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任准教授 (00399940)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 省 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (60136463)
松下 通明 北海道大学, 大学院・保健科学研究院, 教授 (20250425)
蓮池 浩文 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任助教 (60374237)
尾崎 倫孝 北海道大学, 大学院・医学研究科, 特任教授 (80256510)
古川 博之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70292026)
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Keywords | 膵ラ氏島移植 / 分子標的治療 / NF-κB / CD40 |
Research Abstract |
I型糖尿病に対し新たな治療法として膵ラ氏島移植が試行されたが、1年後のインスリン離脱率は80%まで向上したものの、5年後には7.5%まで減少し未だ成績は不良である。本研究の目的は、有効な膵ラ氏島移植法を確立する上で問題となっている膵ラ氏島後のグラフトロスに対し、NF-κBやCD40をターゲットとした分子標的治療の有効性を検討し、新しい治療戦略を見いだすことである。本年度は主に以下の検討を行った。(1)NF-κB阻害による膵ラ氏島保護効果の検討:C57BL6マウス単離膵島をHMGB1刺激RAW264.7細胞と共培養した。培養24時間後にControl群では約40%の膵島が死滅したが、NF-κB阻害剤DHMEQ添加群では傷害は軽減され約95%が生存した。培養上清中のTNF-α、IL-6、HMGB1はDHMEQ添加群で抑制された。(2)早期膵島グラフトロスに対するNF-κB阻害による傷害抑制効果の検討:ビーグル犬にて膵全摘を行い、摘出膵よりラ氏島を単離し、膵島500~2000IEQ/kgを門脈より肝内に自家移植した。DM Control群および500IEQ/kg移植群では、術後早期より血糖値が上昇し、全例で高血糖による代謝障害を来した。膵島1000IEQ/kg移植群では7例中3例(44.4%)は血糖正常化したが、2000IEQ/kg移植群では5例中4例(80%)で血糖正常化した。現在、膵島1000IEQ/kg移植群(marginal TX)においてNF-κB阻害によるグラフトロス抑制効果を検討中である。(3)サルアロ膵ラ氏島移植モデルの確立:カニクイサルを用いた十二指腸温存膵全摘術を行い、サルでのDMモデルを確立した。また、摘出膵よりラ氏島の単離方法を検討し、サルラ氏島単離法を確立した。現在、本モデルにおいて無治療群で拒絶を来すことを確認し、抗CD40抗体の効果を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に単離膵ラ氏島に対するNF-κB阻害剤の直接作用の検討やイヌ膵ラ氏島自家移植モデルにおけるNF-κB阻害剤の早期グラフトロス抑制効果の検討を予定し、これらを行った。後者はビーグル犬を用いて膵ラ氏島自家移植マージナルモデルを確立することから検討を開始したが、現在は本モデルでNF-κB阻害による効果を検討している最中である。なお、今年度にサル移植モデルでの検討は予定していなかったが、本モデルでの検討には時間を要することが予想され、計画を前倒して膵島単利法ならびに移植モデルを確立した。従って、研究計画は概ね順調に進行もしくは当初の計画以上に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
イヌ膵ラ氏島自家移植モデルにおけるNF-κB阻害による早期グラフトロス抑制効果の検討については既に着手しており、次年度はこれを遂行する。また、今年度はサルアロ膵ラ氏島移植モデルが確立できたので、次年度よりこのモデルを用いて主に抗CD40抗体の効果を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)