2012 Fiscal Year Annual Research Report
分子標的薬による新たな膵島移植法の開発:重症糖尿病の克服に向けた新戦略
Project/Area Number |
23390309
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山下 健一郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (00399940)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤堂 省 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任教授 (60136463)
蒲池 浩文 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (60374237)
古川 博之 旭川医科大学, 医学部, 教授 (70292026)
尾崎 倫孝 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (80256510)
|
Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
Keywords | 膵ラ氏島移植 / 分子標的治療 / NF-κB / CD40 |
Research Abstract |
I型糖尿病に対し新たな治療法として膵ラ氏島移植が試行されたが、1年後のインスリン離脱率は80%まで向上したものの、5年後には7.5%まで減少し未だ成績は不良である。本研究の目的は、有効な膵ラ氏島移植法を確立する上で問題となっている膵ラ氏島後のグラフトロスに対し、NF-κBやCD40をターゲットとした分子標的治療の有効性を検討し、新しい治療戦略を見いだすことである。本年度は主に以下の検討を行った。(1) NF-κB阻害によるIBMIR抑制効果の検討:カニクイサル単離膵島をサル血液とともにloop systemへ播種し、同時にNF-κB阻害剤DHMEQを添加して膵島保護作用の有無を検討した。膵島破壊の指標としてInsulin, C-peptide, HMGB1等を測定したが、DHMEQによる明らかな膵島破壊抑制作用を認めなかった。(2)サルアロ膵ラ氏島移植モデルにおける抗CD40抗体によるグラフトロス抑制効果の検討:前年度に確立したカニクイサル膵全摘DM誘導を行い、同種アロ膵島8201-12438 IEQ/kgを門脈より肝内へ移植した。移植後は全例で血糖が正常化したが、無治療Control群は全例9日以内に膵島が拒絶された(n=3)。抗CD40抗体 (10 mg/kg)を移植当日、4、7、11、14日目に静脈内投与した導入療法群(n=5)では、2頭が15、23日目に手術合併症で犠牲死、2頭は210、250日目にグラフト拒絶されたが、1頭は血糖正常のままグラフト長期生着している。導入療法に加え抗CD40抗体(5 mg/kg)を週1回6か月目まで投与した維持療法群(n=4)では、2頭が96、115日目に消化管蠕動不良のため血糖正常状態で犠牲死となるも、2頭は正常血糖が長期にわたり維持されている。現在、本モデルにおける抗CD40抗体の効果を引き続き検討中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はサル単離膵ラ氏島を用いNF-κB阻害剤DHMEQのIBMIR抑制効果を検討した。また、前年度に確立したカニクイサル膵ラ氏島移植モデルにおいて、抗CD40抗体を用いCD40をターゲットとした分子標的治療の有効性を検討中である。後者は臨床応用を主眼に置いた検討であり、今回試験使用した新しいヒト抗CD40抗体では、導入療法および維持療法の両治療法においてアロ膵島グラフトの拒絶反応を強力に抑制し生着期間の延長効果が認められている。研究計画自体は概ね順調に進行しているものと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
DHMEQを用いたNF-κB阻害によるグラフトロス抑制効果については、マウス移植モデル等でその効果が確認されたものの、臨床応用に向けたDHMEQの静注製剤化が難しく、サル単離膵島を使用したex vivoでの検討でもその効果が明確に現れ無かったことから、他のNF-κB阻害法の検討が必要である。従って、次年度はNF-κB阻害作用を有するPPAR-gamma agonistやproteasome阻害剤を用い、マウス・イヌ膵島移植モデルで効果を検討する予定である。また、現在サルアロ膵ラ氏島移植モデルにおいて新しい抗CD40抗体の有効性を検討中であるが、次年度も引き続きこの研究を遂行してゆく。
|
Research Products
(3 results)