2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子と抗炎症製剤併用による肺病変修復促進と治療法開発
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23390376
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
須加原 一博 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20171126)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大城 匡勝 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (00315483)
照屋 孝二 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50437985)
宮田 裕史 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (60315471)
野口 信弘 琉球大学, 医学部附属病院, 助教 (80457671)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 急性肺傷害 / 創傷治癒 / 肺胞上皮細胞 / 細胞増殖因子 / EGFR / サイトカイン / NF-kB / EMT |
Research Abstract |
1. 培養肺胞II型上皮細胞気管内投与による投与細胞の動態― これまでの研究成果からKGF投与後2~3日目に最大の増殖能を示し、イオン輸送能もそれと相関した。 2.Ethyl pyruvate (EP)による肺炎症抑制機序の解明―培養細胞を用いてEPのNF-kBに対する抑制効果を検索した。細胞をTNF-αで刺激すると、NF-kBが活性化されるが、この作用がEPで濃度依存性に抑制された。この作用は、NF-kBのsubunitsのRelAやp50の核内移行を抑制し、DNA結合能を抑制することによることが示唆された。EPはNF-kBシグナル経路の活性化を引き起こす炎症や傷害を抑制することが示唆された。 3.肺傷害が進行すると、肺線維化が起こり重篤な呼吸不全に陥る。肺の線維化を如何に防ぐかが重要である。サイトカインのTGF-β1は肺線維芽細胞増殖を起こし、線維化を促進させる。細菌の鞭毛抽出物flagellinにepidermal-mesenchymal transition(EMT)促進作用があり、肺胞上皮細胞の線維化を起こす作用が示唆され、細菌性肺炎の線維化の一つの機序が示唆された。 4.炎症に関与するサイトカインTNF-αは、p38MAP kinase系を活性化し上皮成長因子受容体(EGFR)のSer1047のリン酸化を引き起こす。レジオネラは鞭毛を有しその構成蛋白のFlagellinはToll-like receptor-5 (TLR5)を刺激する、肺胞上皮細胞のp38MAP kinaseが活性化されること、EMTが促進されることが示され、FlagellinによりSer1047がリン酸化されることが示された。今後、炎症におけるこのリン酸化の病態生理学的意義を検索する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗炎症作用をもつEthyl pyruvateの細胞内機序を検索して、NF-kBを抑制すること、特にそのsubunitのRelAやp50の核内移行を抑制することで炎症を軽減することを明らかにできた。現在線維化の急速に進む細菌性肺炎について、細菌の鞭毛の成分Flagellinが上皮細胞について線維化促進作用があることが示唆され、その機序検索へと発展させている。機序が解明され線維化を抑制できれば、肺傷害の修復促進ができるものと期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、炎症の抑制機序としてNF-kB活性化の抑制という観点から分子生物学的検索、特に生化学的な機序の検索を進めている。分子的な機序解明が進むと、その機序を標的とした選択的な炎症抑制、修復促進へ発展させることができると期待される。
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Research Products
(6 results)