2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390390
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
平松 祐司 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80218817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増山 寿 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (30314678)
鎌田 泰彦 岡山大学, 大学病院, 講師 (70346427)
中村 圭一郎 岡山大学, 大学病院, 講師 (90359886)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | インスリン抵抗性 / 妊娠糖尿病 / 妊娠高血圧症候群 / 子宮体癌 / 多嚢胞性卵巣症候群 |
Research Abstract |
ICRマウスを高脂肪食(HFD)飼育し,妊娠高血圧症候群モデルを作成した.このモデルとコントロール群で糖・インスリン負荷試験,インスリン抵抗性(IR),母体血中アディポサイトカイン濃度,脂肪組織での発現の変化を検討した.HFD 群でIR亢進,中性脂肪の増加と血液中のleptinの増加とadiponectin減少を認めた.更に血圧上昇と蛋白尿増加,母仔の体重増加を認めた.CAR活性化はIR,中性脂肪,アディポサイトカイン及び関連律速酵素発現をCD飼育妊娠マウスのレベルまで抑制し,血圧,蛋白尿,母仔の体重を対象群レベルまで抑制した. 子宮体癌のうちエストロゲン依存性タイプでのK-rasの癌遺伝子異常増殖やPhosphatase and Tensin Homologueの癌抑制遺伝子欠損や変異,排卵障害によるプロゲステロン効果の喪失,あるいはプロゲステロン非存在下での脂肪組織のエストロゲン合成によるエストロゲン暴露,IRによる高インスリン血症もリスク因子であるとことが挙げられる.これに関するアディポネクチン作用につき研究を行った. 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の卵巣皮質における微小循環および卵胞形成への影響については知られていない.今回,テストステロン投与によるラットPCOSモデル作成し,卵巣皮質,とくに卵胞およびその周囲の毛細血管の密度につき観察したところ,PCOSラットでは小卵胞の集簇が観察され,ヒトの多嚢胞性卵巣が再現された.しかし血管密度に関しては,正常ラットと比べ有意な差異が観察されなかった.胎仔数および流産の検討では,妊娠率は正常SDラットで91.7%,PCOSモデルで41.7%と有意差を認めたが,胎仔数に対する流産率は差は無かった.以上より,ラットPCOSモデルは不妊症モデルとなりうるが,不育症(流産)モデルへの適応は困難であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産婦人科全領域のインスリン抵抗性に関する研究をしており,周産期領域は着実に学会発表,論文作成が進んでいるが,生殖内分泌領域,婦人科腫瘍領域の論文化が少し遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
ICRマウスを用いて4週間の高脂肪食(HFD)飼育後に妊娠させ、種々の変化を報告した.今年度は,周産期領域ではHFD飼育子宮内環境の出生仔への影響について検討する予定である. 子宮体癌発症には,インスリン抵抗性(IR)による高インスリン血症もリスク因子である.アディポサイトカイン(AC)はMAPK経路のmTOR系を介するカスケードに作用し,腫瘍抑制効果を認められることが示されているが,mTOR下流であるAMPKやPPAR/RXRについての詳細は不明であり,PCRも含め,色々な技術を用い,より明確な作用機序解明を行うとともにin vitroだけでなく,mouseのin vivoにおいても検討し,子宮体癌の新たな治療戦略に役立つ画期的な新規治療を目指す. PCOSとIRの関与はこれまでにも報告されているが,卵巣皮質における微小循環および卵胞形成への影響については知られていない.今年度は,PCOSラットと正常ラットの卵巣皮質,とくに卵胞およびその周囲の血管内皮細胞に特異的な表面抗原(CD31,CD34,Tie-2),血管新生マーカー(血管内皮増殖因子(VEGF)受容体,αvインテグリンサブファミリー),および毛細血管機能に関与するeNOSや各種接着分子(血管細胞接着分子(VCAM),細胞間接着分子(ICAM),VEカドヘリン,Eセレクチン)等の発現につき免疫組織化学染色などを施行し検討する.また血管周囲のペリサイトのアクチン(α-SMA)発現についても検討し,動脈硬化に伴う微細な変化がPCOSラット卵巣で観察されるかどうかについても探る.
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Research Products
(59 results)