2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23390432
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
田上 順次 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50171567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒田 亘 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助教 (10447493)
島田 康史 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60282761)
高橋 英和 東京医科歯科大学, 歯学部, 教授 (90175430)
海老原 新 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60251534)
石村 瞳 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (20451916)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 光干渉断層計 / 歯冠修復 / う蝕 / 亀裂 / コンポジットレジン修復 / 窩壁適合性 / 非う蝕性歯頸部欠損 |
Research Abstract |
歯冠修復領域において光干渉断層計(OCT)の応用をめざし、う蝕の診断、脱灰病変の定量評価、修復物の適合性評価、歯の亀裂の評価、学生模型実習における修復物適合性の評価、非う蝕性歯頸部欠損の評価などを行った。結果、有用性の高い様々な結果を得ることができた。 OCTを用いて平滑面う蝕の診断を行ったところ、象牙質まで到達するう蝕に対して、有意に精度の高い結果が得られた。また、脱灰病変部にレジンが浸透する様子を、OCTを用いて観察することができた。人工脱灰を行ったエナメル質におけるOCT画像は、湿潤状態と乾燥状態のシグナルの変化において、実際の脱灰の深さと相関がみられた。また、エナメル質と象牙質の屈折率は脱灰によって変化することが判明し、脱灰病変の検出に利用できる可能性が示唆された。隣接面う蝕の診断では、SS-OCT画像はデンタルX線写真よりも優れており、患者に対して精度の高いう蝕診断を提供することができた。コンポジットレジン修復のギャップを観察したところ、OCT画像の輝度の上昇として捉えることができ、その様相は接着材の種類や充填の方法によって異なっていた。また、OCTによる診断は、亀裂の診断において特に精度が高く、再現性の優れた結果が得られ、複雑な破折線を伴う外傷性亀裂に対してもスキャン角度を変えて対応できることが分かった。学生実習のコンポジットレジン修復では、断層画像を非破壊で観察することにより、充填操作の重要性を指摘することができた。NCCLでは、歯頚部のエナメル質の亀裂と咬合面残存エナメル質の厚さとの間に相関がみられたことから、NCCL発症機序の解明において今後の発展が期待できる結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
OCTを用いることにより、う蝕の脱灰病変部の診断が可能であり、OCT画像におけるシグナルの変化は、歯質の脱灰程度と高い相関がみられた。したがって、SS-OCTによるう蝕診断の情報は、客観的な評価であり、精度の高いものであることが分かった。また、実際に隣接面う蝕の診断にOCTを用いて行ったところ、検出精度の高い結果が得られた。これらの結果は期待以上の成果であり、OCTによるう蝕診断の可能性を示唆するものである。 エナメル質亀裂の診断や、クサビ状欠損に対する観察においても、SS-OCTによって深さ方向の情報が獲得できることから、亀裂の封鎖など、臨床でのより適切な対応を導くことが可能となる。 さらに、SS-OCTによってコンポジットレジン修復の内部欠陥を非侵襲的に抽出することが可能であり、口腔内修復物の非破壊検査を行うこともできる。同様に、このようなSS-OCTの利点は学生実習においても活用でき、修復物の内部適合性を非破壊で提示できることなど、教育現場での利用効果も得られることが分かった。。 以上より、OCTの歯冠修復領域における応用は極めて実現性が高いことが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
①う蝕、クサビ状欠損の臨床における診断と、う蝕脱灰部の定量的評価ならびに再石灰化の試み:1)実際のう蝕(平滑面う蝕・隣接面う蝕、根面う蝕、二次う蝕)にOCT観察を行い、X線写真等による結果と比較する。その後、実際に治療を行った際の所見を基に、OCTの検出精度を分析する。2)エナメル質ならびに象牙質の臨床における脱灰病変において、OCTを用いて定量的評価を試みる。次に、経過観察が適応と思われる初期病変に対して再石灰化治療を行い、さらにOCT画像を用いて病変部の変化を追及する。3)実際のクサビ状欠損や、知覚過敏の見られる歯頸部に対して、OCTによる断層画像を撮影し、分析する。臨床介入の必要性のみられる病変に対して、実際の処置においてみられる所見とOCTによる結果とを比較する。 ②歯冠ならびに歯根部の亀裂、破折に対する臨床的評価:臨床において、歯冠部ならびに歯根部において、亀裂や破折の疑われる歯に対し、OCTを用いて観察を試み、他の画像診断法と比較する。 ③修復物の辺縁適合性と漏洩ならびに内部欠陥の解析:実際の臨床で、コンポジットレジン修復の施された歯に対し、辺縁漏洩やギャップの非破壊検査を、OCTを用いて行う。冷水痛などの患者の臨床所見を参考にし、X線写真などと比較しながら、また、ポーセレンやレジンの間接法修復物の接着において、接着界面の様相を、コンポジットレジン修復同様、臨床現場で観察し、適合性を評価する。 なお、本研究の実施にあたり、すでに多くの成果が得られているが、計画通りに進行しない場合、研究担当者間で連携をとりながら、SEM、TEM、超微小硬さ試験機など現有する機器を駆使し、基礎的なデータをさらに追加し、客観的な検討を加え、OCTの臨床導入の可能性につき総括を行う。
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Research Products
(13 results)