2011 Fiscal Year Annual Research Report
ミニマムインターベンションの概念と齲蝕病態に基づく新規の包括的齲蝕治療法の開発
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23390435
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松尾 敬志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30173800)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正 徳島大学, 病院, 講師 (00217770)
菅 俊行 徳島大学, 病院, 講師 (60243713)
湯本 浩通 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (60284303)
平尾 功治 徳島大学, 病院, 助教 (00581399)
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Keywords | 齲蝕治療法 / ミニマルインターベンション / 象牙質再石灰化法 / 電磁波/高周波 / 歯髄炎 / 自然免疫応答 |
Research Abstract |
齲蝕治療における最小限の侵襲[minimal intervention)に基づく、新しいコンセプトの齲蝕治療法を開発するため、(1)抗菌活性保持象牙質再石灰化法による齲蝕罹患歯質の石灰化・強化法の確立(2)電磁波/高周波による齲蝕治療法の検討(3)カテキン等ポリフェノールの深部齲蝕・歯髄炎への応用(4)死滅細菌の象牙細管封鎖法の検討を具体的な4つの目的として研究を行っている。目的(1)については、ハイドロキシアパタイト(HA)析出による象牙細管封鎖および歯質強化の効果を持つフッ化ジアミンシリケート(SiF)に、抗菌性を持たせるため各種抗菌薬を添加し、齲蝕治療薬としての可能性について検討を加えた。その結果、SiFに塩化セチルピリジニウムを添加したものが、SiFのHA析出能を阻害することなく、ミュータンス菌に対し高い抗菌性を示すことが明らかとなり、新しい齲蝕薬物治療法としての可能性が示された。目的(2)については、電磁波/高周波の生体への影響を検討した。すなわち、電磁波/高周波発生装置の熱発生と伝導様式を検討するとともに、骨への影響を検討した。その結果、熱発生は電極の周囲1mm以内では約50℃まで上昇するが、1秒以内に低下すること、また骨芽細胞増殖作用のあることが明らかとなった。これらの結果は、電磁波/高周波治療が生体応用可能であることを示している。また目的(3)については、カテキン等のポリフェノールを応用するにあたり、まず深部齲蝕によって惹起される歯髄炎の解析を行っている。特に歯髄炎の初期で重要な働きをしている歯髄細胞の自然免疫応答におけるインターフェロンγ(IFN-γ)の役割を検討した。その結果、自然免疫レセプター群のTLRやNODをリガンドで刺激した培養歯髄細胞ではIL-6やCXCL10産生が認められ、IFN-γで相乗的に産生が増強されることが明らかとなった。この結果は、初期歯髄炎における自然免疫そしてIFN-γの産生を抑制することにより、不可逆性歯髄炎への移行を制御できる可能性を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を遂行するための具体的な目的の4つの内3つは、研究実績の概要で示したように着実に進行しており、既に国際誌(American Journal of Dentistry;2報、Journal of Applied Microbiology;1報)に3報掲載されている。残りの1つの目的は、実験系の確立が難航しており、今後の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で示した目的(1)は臨床応用を目指したin vivoに向けて詳細な条件設定等の研究へと移行する。目的(2)は電磁波/高周波の象牙芽細胞への石灰促進効果等の検討を始める。目的(3)は深部齲蝕の細菌や歯髄炎へのポリフェノールの効果を検討して行く。また、目的(4)については封鎖された象牙細管内における細菌動態を検討できる実験系を模索し確立して行く予定である。
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Research Products
(6 results)