2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体活性物質による治癒促進機能を有する高耐久性含フッ素粘膜調整材の開発
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23390446
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村田 比呂司 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40229993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 正宏 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00294570)
鳥巣 哲朗 長崎大学, 長崎大学病院, 講師 (80264258)
小椎尾 謙 長崎大学, 工学部, 准教授 (20346935)
洪 光 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (70363083)
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Keywords | 歯学 / 高分子構造・物性 / 補綴用材料 / 粘膜調整剤 / レオロジー / 動的粘弾性 / 光触媒 / フッ素系モノマー |
Research Abstract |
粘膜調整材は、不適合義歯により生じた床下粘膜の褥瘡性潰瘍、歪、発赤等の病変を正常な状態に回復する粘膜調整、ダイナミック印象、インプラント体埋入後の暫間義歯や即時義歯の暫間裏装等補綴臨床に広く応用されている。しかしながら従来の材料は耐久性、耐汚染性、生体安全性について十分な対策が講じられているとは言えず、さらに生物学的・薬理学的な粘膜治癒機能を有している粘膜調整材は存在していない。本研究では生体活性物質による粘膜治癒促進機能、フッ素系モノマーによる高耐久性機能、ナノ複合化光触媒による抗菌性機能、の3つの機能を有する新規粘膜調整材の開発を目指している。 本年度は市販粘膜調整材の動的粘弾性等のレオロジー的性質、溶出成分の定性定量、歯肉線維芽細胞を用いた細胞毒性の評価を行い、本材の成分との関係について検討を行い、本材に適する可塑剤の種類等についての知見を得た。さらにフッ素系モノマーが粘弾性率、吸水量、成分の溶解量、疎水性、ガラス転移温度、硬化挙動および耐久性に及ぼす影響についても検討した。その結果、フッ素系モノマーの添加により本材の耐久性が向上する可能性が示唆された。なお本年度はレオメーターを導入し、硬化進行中の動的粘弾性の解析手法および評価方法の確立を行った。これらの研究結果は日本補綴歯科学会第102回学術大会にて発表を行い、一部については現在論文を執筆中である。 平成24年度以降は、平成23年度の研究知見をもとに、ブチル系ポリマーを用いた粘膜調整材を試作し、市販材料と同様の評価および解析を行う計画である。また生体活性物質による治癒促進機能および光触媒による抗菌性機能の評価についても検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はもっとも測定量の多い市販粘膜調整材の動的粘弾性、可塑剤等の溶出成分の定性定量および細胞毒性の評価を行った。またフッ素系モノマーの効果についての評価も行った。これらの結果については、日本補綴歯科学会で発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
市販粘膜調整材の各種性質等についての測定が終了したので、今後はpoly(nrbutyl methacrylate)を主成分とした試作材料を作製し、動的粘弾性、硬化挙動、溶出成分の定性定量、吸水等の本材の物性について検討していく予定である。 なお細胞毒性の評価については、これまで歯肉線維芽細胞を用いて行ってきたが、より臨床的な状態をシミュレートするため、歯肉上皮細胞と歯肉線維芽細胞を3次元的に培養するシステムも構築する予定である。 平成24年度より光触媒および生体活性物質についての検討も始める計画である。
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