2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における膜型ムチン発現の臨床病理学的意義の解明と診断への応用
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23390466
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
杉原 一正 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00117516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浜田 倫史 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (00444894)
上川 善昭 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30332901)
坂元 亮一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60452950)
上川 泰子(簗瀬泰子) 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, その他 (70253903)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 膜型ムチン / MUC1 / MUC4 / 口腔扁平上皮癌 / 転移 / エピジェネティクス |
Research Abstract |
MUC1やMUC4は、細胞表面を保護する「粘液」の主成分である「膜型ムチン」に分類され多くのヒト悪性腫瘍に過剰発現し腫瘍の浸潤・転移に促進的に働く重要な予後不良因子として広く知られている。しかし今日に至るまで口腔扁平上皮癌におけるその予後因子としての有用性はいまだ不明である。本研究の第一の目的は、口腔扁平上皮癌におけるMUC1およびMUC4の発現を検索しその予後因子としての有用性を検討することである。われわれはまず、口腔癌症例の組織を用いてMUC1およびMUC4ムチンの発現を検索し臨床病理学的事項との関連性を検討しムチン発現が口腔扁平上皮癌の予後予測因子になりうるか200例以上の切除組織を用いて詳細に検討した。その結果、MUC1およびMUC4の過剰発現は口腔扁平上皮癌の新しい有意な予後予測因子であることを明らかにした。次に本研究の第二の目的は、口腔癌においてスプライシングやエピジェネティック調節などの膜型ムチンの発現調節機構を口腔含嗽液を用いて高感度に検出する方法を確立し、口腔癌の早期発見や発癌リスクの予測に役立てることである。そこでわれわれの研究グループは、少量の含嗽液を用いて遺伝子発現、DNAプロモータの異常メチル化、ヒストン蛋白の修飾を検出するプロトコルを作成し(Journal of Oral and Maxillofacial Surgery. 2012. 70: 1486-94.)、口腔癌症例に特異的な遺伝子異常メチル化群を同定することに成功した(Cancer. 2012. 118: 4298-308.)。今後は症例数を増やしたのち統計解析を行い、口腔癌の予後不良因子である膜型ムチンの選択的スプライシングやエピゲノム異常のうち、直接的に予後に関連し治療の標的となりうるものを見いだしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
膜型ムチンのタンパクレベルでの発現状況と予後との関連は既に調査が終了し、成果を国際的な英文誌に発表した。また含嗽液からエピゲノム異常を検出するプロトコルを作成し、口腔癌症例に特異的な遺伝子異常メチル化群を同定し、国際的な英文誌に報告している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、切除組織を用いて膜型ムチン(MUC1とMUC4)のスプライシングバリアントの発現状況およびエピゲノム異常を後顧的に検討している。検討に際しての技術的な問題点は今のところみられない。統計解析が可能な症例数が収集できしだい、結果を分析し報告する予定である。
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