2012 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンにおける「貧困問題」の再検討:社会ネットワークの動態的分析
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23401008
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中西 徹 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30227839)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / フィリピン / 貧困 / 社会ネットワーク / コミュニティ / 少数民族 / スラム |
Research Abstract |
平成24 年度では,首都マニラと地方都市を対象とした社会ネットワーク分析のための調査を実施する本格的作業が実施された。すなわち,(1)資産・所得などの経済指標,社会的威信などの個々の主体の属性や対象集団にとって重要な事件を析出すると同時に,(2)親族・姻族関係以外の鍵となる複数のネットワーク・データを収集した。また,(3)マクロの経済指標,地域開発政策などの外的条件の変容についての資料を得た。これらの収集資料は,匿名性を保持する形でデータ・ベース化し,必要に応じて調査地に還元することを予定している。ここで重要となるのが,調査地社会集団内における格差構造である。現実社会における主観的格差,客観的格差と,社会ネットワーク分析(中心性分析,近接威信分析あるいはブロック・モデル分析)によって得られたネットワーク構造上の格差の三者の関係について,速報値により部分的な分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年8月、調査を予定していたフィリピン中部ルソン(ヌエバ・エシハ州)における調査協力者から調査延期の依頼があった。これは、同時期の台風とそれに伴うインフラ被害が発生したためである。しかしながら,その後は,少なくともルソン島については,マニラとともに,調査は,比較的に順調に進み,家計および社会ネットワークについての必要なデータを捕捉することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
それまでの実態調査によって得られたデータに基づき,社会ネットワーク分析を用いて重要な社会関係の深化,発展とその役割を動態的に把握する枠組みを構築する。その上で,これまでの作業工程で得られた分析結果を,英文中間報告書にまとめ,フィリピン国立大学等において関連分野の研究者を集めた学術会議において発表し,最終報告書作成に備える。さらに,調査地の代表者や現地NGO 対象のセミナーの機会も持ち,議論のいっそうの深化を図りたい。
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Research Products
(3 results)