2012 Fiscal Year Annual Research Report
西欧教会ならびにオペラ劇場の動学的音場解析とその比較
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23401020
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊東 乾 東京大学, 大学院情報学環, 准教授 (20323488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
添田 喜治 独立行政法人産業技術総合研究所, 健康工学研究部門, 研究員 (10415698)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 教会 / オペラハウス / 音楽音場 / 相関解析 / 歴史的建造物 |
Research Abstract |
プロジェクト全体の主要なフィールドであるドイツ連邦共和国バイエルン州、バイロイト祝祭劇場での演奏測定日程が2012年度中には取れないことが判明したため、2013年秋期(10月)にこれを行うこととし、当該部分の予算を繰り越すこととした。同時に国内で可能な予備測定と準備として、2012年8月、新国立劇場(東京都新宿区)においてヴァーグナー楽劇の作曲者自身の空間的指定に従った演奏を行い、その測定評価を実施した。 楽劇「トリスタンとイゾルデ」冒頭など、ソリストの歌唱位置の高低による音場の動的な変化を測定したが、予想された通り、LR2チャンネルのバイノーラル測定では上下方向の音源変化に対して有効な指標の違いは見いだされず、現状の建築音響が依拠するパラダイムの明確な一限界を浮き彫りにすることとなった。国内フィールドでの石造建築(に相当するものとして「東京オペラシティ近江楽堂」などのコンクリートの建物を選定)、木造建築(「東大寺二月堂」を中心に)のリファレンスを取るべく、基礎的な準備を並行して進めた。 音源位置の上下方向の変化に対しては、抜本的に新たな測定方法を検討する必要があり、新たな相関計の制作を原理から検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今回研究3年分の最大のポイントである、ドイツ~欧州での測定の日程を、先方の事情から第二年度中に組むことができず、国内での予備測定が続いている。が、同時に、新国立劇場での測定から、測定の原理的な再検討が必要であることが判明しており、それに対処するべく半年程度の時間的猶予が必要であり、研究そのものの進捗としてはおおむね順調に進んでおり、日程面のみ、第三年度にずれ込んでいる状態と認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の建築音響のパラダイムでは殆ど顧慮されてこなかった、音源位置の上限方向での変化に対応するべく、物理的な音波の干渉を原理から再検討し、動的相関計を新たに作成することとした。これを作成し、その有効性を、再度の国内での予備測定にて確認のうえ、欧州での測定に臨み、3年間の当初の目的を達成するものとする。
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Research Products
(2 results)