2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23401031
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
山形 眞理子 昭和女子大学, 国際文化研究所, 研究員 (90409582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 誠一 昭和女子大学, 生活機構研究科, 教授 (40327953)
吉開 将人 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (80272491)
俵 寛司 サイバー大学, 国際文化学部, 准教授 (80463925)
鐘ヶ江 賢二 鹿児島国際大学, 博物館実習施設, 助手 (00389595)
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Keywords | 考古学 / 国際情報交換 / ベトナム |
Research Abstract |
平成23年度は、研究代表者・山形と研究分担者・俵と鐘ヶ江が2012年2月、ベトナム南部持続可能発展院とクァンナム省博物館との共同調査として、同省ズイスエン県内にて林邑関連遺跡踏査と現況確認調査を実施した。ゴーヴァンGo vang遺跡で新たにレンガ建築遺構と甕棺墓を確認し、ゴーカムGo Cam遺跡でも新たな遺物包含地点を発見することができた。ゴーミェウオンGo Mieu Ong遺跡では盗掘を受けたあとの遺物を集め、県立サーフィン・チャンパ博物館に収蔵した。さらに林邑王都に比定される同県内チャーキュウTra Kieu遺跡にて城壁の踏査を実施し、瓦破片が集中する地点を確認した。本研究がねらっている4世紀から7世紀の遺構を含む可能性は高いと判断した。以上の調査は平成24年度に予定しているチャーキュウ城壁の発掘と、チャーキュウ周辺の林邑遺跡分布図作成を念頭においたものである。なお胎土分析を通して林邑の土器生産と流通の問題を担当する鐘ヶ江は、今年度はチャーキュウ遺跡の立地や周辺の地質環境を観察した。俵は中国支配の南端「九眞郡」「日南郡」と林邑との時間的・空間的境界を把握することを目的とし、今年度はライギ遺跡出土の漢系青銅容器群調査と、ゴーカム遺跡出土漢系印紋陶の実測を行った。菊池は2012年3月、ズイスエン県に隣接するホイアン市において陶磁器調査を実施すると同時に、ホイアン近郊で林邑期と目される遺跡の踏査をおこなった。吉開は2012年3月に北京市に出張し、国家図書館と中国第一歴史梢案館で、中国学術界のベトナム史(含林邑史)研究に関する文献と、中国王朝側が中部・南部ベトナム情勢について記録した同時代史料を筆写した。なお中国を取り巻く国際情勢の緊張のため、中国第一歴史梢案館の渉外関係文書史料は今後、非公開となる旨の宣告を受けた。その直前に一部ではあるが記録を残せたことは重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の主要な目的とした遺跡分布調査と現況確認調査を実施することができた。また、次年度に計画している発掘調査の準備(発掘地点の選定と地元との折衝)を行うことができた。文献史料の調査も中国で順調に実施された。調査研究の期間が限られていたにもかかわらず、おおむね順調な経過をたどっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は今後もベトナム現地調査を中心として推進される。平成24年度にはクァンナム省チャーキュウ遺跡で発掘調査を実施し、平成25年度には整理作業と分析が続く。ベトナムで展開する一連のプロジェクトについて、ベトナム側共同研究機関(南部持続可能発展院)の合意を得ている。現時点では研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点はないが、ベトナム側の調査方針や現地の状況に臨機応変に対応するケースも起こりうる。ベトナム側との協議を経ながら研究推進の方策を決めていく必要がある。
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