2014 Fiscal Year Annual Research Report
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23401031
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山形 眞理子 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任教授 (90409582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鐘ヶ江 賢二 鹿児島国際大学, 博物館実習施設, 助手 (00389595)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 考古学 / 国際研究者交流 / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は8月20日から9月10日まで約三週間、ベトナム中部クァンナム省ズイスエン県立サーフィン・チャンパ博物館において、チャーキュウ遺跡東城壁出土遺物の整理作業を実施することができた。平成24年度の第一次発掘調査、翌25年度の第二次発掘調査によって出土した資料の整理作業である。ベトナム南部社会科学院ならびにクァンナム省博物館との共同調査として実施し、ベトナム側総責任者はブイ・チー・ホアン博士(海外研究協力者、南部社会科学院副院長)、ベトナム側整理作業責任者はグエン・キム・ズン博士(海外研究協力者、ベトナム考古学院)とダン・ゴック・キン氏(南部社会科学院考古学研究センター)である。日本側責任者は研究代表者・山形眞理子で、研究分担者・鐘ヶ江賢二が参加した。さらに、ベトナム側から若手考古学者と地元の文化財担当者の計5名、日本側から大学院生6名も参加した。作業の内容は出土遺物(大量の瓦と土器)の洗浄、注記、分類、計量、接合、復元、実測、拓本、写真撮影である。整理作業と並行して、チャーキュウ城の精密な地図を作製することを目指して遺跡全体のGPS測量に着手した。日本から測量の専門家を招き、日越の若手考古学者に対し測量指導を行なった。 以上のような基礎的作業の上にたって、山形は城壁の年代と構築方法に関する分析を進め、ベトナム側の承諾を得て日本語で調査概要を発表した。鐘ヶ江は出土遺物の胎土分析を進めている。現場での所見と整理作業の成果、現在までに得られている6件の放射性炭素測定年代を考え合わせると、最初の築城は4世紀前半、その後二度の増築があった可能性が高い。林邑都城の城壁建設について初めて考古学的根拠に基づいた年代観を提示することができた。発掘調査概要報告の作成に向けて、今後も必要な作業を継続していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
調査地の博物館において出土遺物の整理作業を行なったが、すべての作業を終了できたわけではない。これは予想通りの展開であり、次年度も引き続き現地で整理作業を実施する必要がある。発掘現場での所見に整理作業の成果を重ね合わせ、所期の目的であった林邑王都の城壁の構築年代と構造について考察を深めることができた。また、長年の課題であった遺跡全体の地図作製に向け、測量調査を開始することができた。ベトナム側研究機関との共同作業も問題なく進んでいる。このように、調査研究はおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度にあたり、発掘調査概要報告書の刊行にむけて準備を進める。現地での整理作業、遺構や遺物の実測図のデジタルトレース、資料の胎土分析、日・越・英三ヶ国語による概報本文の執筆などを行なう。遺跡地図の作製作業も継続する。海外と国内の学会や講演会で発表を行ない、研究者と市民に向けて成果を発信するとともに、調査地では県立博物館と協力しながら今回の調査成果を展示に反映させる。最終年度以降の新たな段階の調査へと繋ぐことを目指して、ベトナム側との共同調査を着実に進めていく。
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Research Products
(4 results)