2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブラジル・アマゾンにおける低投入持続型農業の環境調和性と内発的発展戦略
Project/Area Number |
23401039
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Section | 海外学術 |
Research Field |
Human geography
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
丸山 浩明 立教大学, 文学部, 教授 (50219573)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮岡 邦任 三重大学, 教育学部, 准教授 (70296234)
吉田 圭一郎 横浜国立大学, 教育人間科学部, 准教授 (60377083)
仁平 尊明 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (60344868)
山下 亜紀郎 筑波大学, 生命環境科学研究科, 助教 (60396794)
|
Keywords | ブラジル / アマゾン / マウエス / 崎山比佐衛 / 高拓生 / 低投入持続型農業 / 環境調和性 / 内発的発展 |
Research Abstract |
本研究は,ブラジル・アマゾンの代表的な日系移住地や日系農場を主要な研究対象として,氾濫原(ヴァルゼア)と非浸水台地(テラフィルメ)の異質な環境資源を巧みに利用した低投入持続型農業(LISA農業)の実態と,その持続的発展の可能性を探ることを目的としている。 初年度の今回は,マナウス,パリンチンス,マウエスといった,アマゾン川中流域の主要な日系人集住地の現状を広域的に調査し,日系人農業の歴史や現在の生活様式の全体像を把握するための史資料・統計類の収集や聞き取り調査などを実施した。また,マウエスではモーターボートを利用して日系人農場などを訪問し,彼等の生活様式に関する概略的な聞き取り調査と,農場周辺の基礎的な環境調査や景観観察を実施した。 その結果,次年度以降の本調査地として,マウエス市よりマウエス川を上流に数十km遡上したアマゾン奥地に位置し,わずかな日系人とブラジル人が混在しつつ居住するコミュニティー(とくにププニャルと呼ばれるマウエス川支流域)を中心に,LISA農業に関する詳細な事例調査を実施することにした。そして,次年度に向けた本調査のためのジェネラルサーベイと事前準備を行った。その際アマゾン地域では,農業のみならず漁業や牧畜,交易などを巧みに組みあせた,家族を中心とする小農複合経営の実態を把握することが重要であることが判明したため,その点に関しては今後調査内容をさらに追加する予定である。 また,パリンチンスでは,かつて日本高等拓殖学校の卒業生が入植・開墾した移住地を訪問し,おもに1930年代を中心とする開拓や農業の実態を調査した。現在,パリンチンス周辺で農業を営む日系人はごくわずかであるが,かつて彼らがアマゾンの開拓にどのような思想・技術をもって立ち向かったのかを具体的に立証することはきわめて意義深いことであり,この点に関しても調査研究を深化・継続させる意義を認識できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究目的は,アマゾン川流域の日系移住地に関する基礎的な史資料・統計類の収集と,次年度以降に実施する本調査に備えて,有効性の高い事例調査農家(地域)などを選定することであった。これら所期の課題はいずれも概ね達成できており,次年度の調査に向けて準備を進めることができた。しかし,アマゾンでは船の移動が基本であり,当初の予想以上に調査地への移動時間を要することや,現地での安全対策に万全の注意が必要であることが判明した。そのため,調査期間や事前準備の内容について,より周到な検討と緻密な計画が必要であることがわかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.低投入持続型農業に関しては,日系人を主体としつつも,現地の人々を加えた検討が必要不可欠である。また,農業単独ではなく,そこに漁業や牧畜,船での交易などを組み合わせた家族を経営体とする小農複合経営の視点をより積極的に研究に導入する有効性を確認した。そのため,当初の計画よりもさらに調査・分析対象を拡大する予定である。 2.マラリアなどの感染症や多様な疾病,水陸で想起されるさまざまな危険などに対して,メンバー全員で再度検討を行い,安全確保のための具体的な対策を調査前に確立することが必要である。
|
Research Products
(3 results)