2013 Fiscal Year Annual Research Report
生物学的関係に拘束されない親子関係についての国際比較研究
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23401044
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
出口 顕 島根大学, 法文学部, 教授 (20172116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 佳美 島根大学, 法文学部, 准教授 (80335546)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化人類学 / 社会学 / 国際養子縁組 / 生殖医療 / 核家族 / グローバル化 |
Research Abstract |
研究代表者である出口は連携研究者の石原とともに前年度に引き続き、国際養子縁組家族の調査をスウェーデンとデンマークで実施した。両国とも縁組み件数が近年減少しており、斡旋機関が閉鎖されたり縮小されたりしている。そのため関係者が危機意識を持ち打開策を検討していることがわかった。さらにスウェーデンのヨテボリ大学医学部で行われた子宮移植手術の経過を代表者のマッツ・ブランドストスム教授にインタビューし、家族や友人から子宮移植が行われたことと、移植した子宮による妊娠・出産は、うまくいけば2014年の夏以降になることがわかった。またスウェーデンのゲイとしてははじめてインドに渡航し代理出産により双子の父親になったシングル男性に取材できた。彼の家族形成は職場でそして彼の家族からも好意的に迎えられていることがわかった。 また出口は2012年に引き続き養子拠出国の韓国での調査を行った。国際養子たちは同じ韓国で生まれたにせよ育った文化が異なるからもはや「同じ韓国民」ではないし「在外韓国人」でもないと、人びとが考えていることがわかった。 一方分担者である片岡は、フィンランドの国際養子家族を継続調査した。その結果、他の養子縁組家族との交流が生活情報や精神面で養親・養子の支えになっていることがわかった。また片岡のアメリカの国内養子縁組家族斡旋機関の調査では、異性愛カップルによる大家族という「理想の家族」像のために養子縁組が選択されることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
北欧とアメリカで国際養子縁組家族の経年調査を継続しているため、個々の家族の事情を深く知ることができるようになるとともに、養子縁組の近年の傾向も把握することができた。さらに国際養子家族をアメリカと北欧で比較すること、また代理出産による家族や子宮移植の例と比較することで、生物学的核家族とは異なる家族の形態の理論化のめどがえられた。養子受け入れ国では血縁重視のイデオロギーから養子と出生国のつながりを深く受け止めていたのに対し、拠出国の韓国では逆に血縁がすべてではなく養育の歴史を重んじているという新たな発見があった。 このように「家族とは何か」「親子とは何か」についての意味の多様性に示唆的な情報を得ることができた。以上のことから研究はおおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は「生物学的関係によらない家族形成」の多様性の実態とその理論化を進めるとともに、人口規模の小さい「僻地」で不妊治療や養子縁組斡旋がどのように行われているかを探り、現在の日本が抱える少子高齢化や中山間地域の過疎化という問題解決に有効な視点が提示できるかを模索する。そのために2014年度はデンマーク自治領のフェロー諸島を調査する予定である。また先進国の中で国際養子縁組数がきわめて少ないのがイギリスである。その理由と養子縁組の実情を探り、北欧やアメリカと比較することであらたな見通しがえられるかを探りたい。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Single Blastocyst Transfer
Author(s)
Osamu Ishihara
Organizer
IFFS 21st World Congress on Fertility and Sterility/ 69th Annual meeting of the ASRM
Place of Presentation
Boston, Boston Convention and Exhibition Center
Invited
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