2011 Fiscal Year Annual Research Report
宗教と移民のアイデンティティ・共生: 南アジア系ディアスポラを事例として
Project/Area Number |
23401048
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Field |
Cultural anthropology/Folklore
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
辻 輝之 国立民族学博物館, 外来研究員 (20546832)
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Keywords | 宗教 / 移民 / 共生 / 社会資本 / アイデンティティ / 南アジア系ディアスポラ / トリニダッド・トバゴ / 米国 |
Research Abstract |
【第1四半期(4~6月)】予定通り、博士論文執筆時には未出版であった文献の収集と検討を通じて、フィールドワーク実施に向けた仮説・問いの再検討を行った。うち先行研究の一つについて書評を執筆、査読学術雑誌Religion and Genderに投稿し、2012年2月に出版された。加えて、今回、初めて科研費を受けて調査・研究を行うこともあり、4月に東京外国語大学で開催されたフォーラムへ出席して科研費の運用に関する知識を得るとともに、他の研究者との交流に努めた。 【第2四半期(7~9月)】同期に予定していたフィールドワークは延期し、前年の調査で既に入手していたデータの整理と分析を継続した。また、同期には、本プロジェクト申請時に既に提出していた書籍(分担執筆)の原稿を、その後入手可能となった2010年米国国勢調査の結果を加えて加筆修正した。なお、本業績は、1990年代以降米国で急速に増加している移民に焦点を当てた書籍の一章として執筆した"Trinidadian and Tobagonian Americans"であり、2011年9月に出版された。 【第3四半期(10~12月)】英国オックスフォード大学およびロンドン大学が開催したトリニダッド・トバゴ初代首相エウック・ウィリアムズによる開発、文化政策の再検討に関する学会にて論文発表した。論題は"Villaging the Nation:Eric Williams and the Engineering of National Culture"でウィリアムズによる「国民文化」形成がもたらした問題について、当時南アジア系ディアスポラの3分の2以上が居住していた村落に焦点を当てて論じた。また、予定通り、来年度アメリカ人類学会発表のためのプロポーザルを作成した。 【第4四半期(1~3月)】1月13日を以て、科研運用機関が前所属の関西学院大学から現在の国立民族学博物館に移行した。また、その後、米国セント・ルイス大学商文化研究センター(Saint Louis University,Center for Intercultural Studies)から客員研究員として招聘されたため、現在同センターにて本科研プロジェクトを遂行している。2月17日には、同センター主催のワークショップにて本研究プロジェクトの成果の一つとして南アジア系ディアスポラの宗教の変容と他集団との関係について発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していたフィールドワークは実施出来なかったが、それに代えて、前年までに収集したデータの分析が進行したこと、重要な国際学会において発表の機会を得たことによって、今後のフィールドワーク、論文執筆を有効に進める準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)フィールドワーク:23年度予定していたフィールドワークが実施できなかったことを受けて、24年度は、補完的データの収集を目的としたフィールドワークをトリニダッド・トバゴおよびマイアミで数回に分けて実施する。その一回目は4月2日~11日にトリニダッド南部シパリアにてヒンドゥー教徒によるカソリック教会昏の巡礼に関する事例の追跡調査を行う。 (2)学会発表:アメリカ人類学会(AAA)に加えて、アメリカ宗教学会(American Academy of Religion,AAR)においても発表すべく、すでにプロポーザルを提出済みである(両学会とも開催は11月。プロポーザルの結果は7月末頃通知される予定)。なお、AAAではトリニダッドにおける事例研究、AARではマイアミにおけるカリブ出身の南アジア系ディアスポラによる宗教再興と社会資本形成について発表予定である。 (3)業績出版:本プロジェクトの最終目標である書籍の出版(少なくとも出版計画の作成)に向けて、現在University of Illinois Press,University Press of MississipPiおよびUniversity Wisconsin Pressの共同募集(http://folklorestudies.press.illinois.edu/index.html)にBook Proposalを提出する予定で準備を進めている。本応募に間に合わない場合であっても、上記学会において出版社・編集者との面談に間に合うよう準備を進める。並行して、上記学会での発表原稿を基に、査読学術雑誌への投稿論文を執筆する。
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Research Products
(4 results)