2013 Fiscal Year Annual Research Report
タイに陸路で渡ってきた南アジア系及びミャンマー系移民:地域研究の新たな地平を拓く
Project/Area Number |
23402009
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
高田 峰夫 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80258277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 幸一 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (80272441)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | タイ / 南アジア / ビルマ(ミャンマー) / 陸路でのつながり / 移民労働者 / 移民政策 / バングラデシュ / ネパール |
Research Abstract |
2013年8月~9月にタイのチェンマイ、メーサリアンで主にバングラデシュ系ムスリムのインタヴュー調査を実施(高田、長田、竹口)。引き続き、タイのピッロク、バンコクでネパール系移民のインタヴュー、行事参与観察等を実施(高田、森本、長田、竹口)。2014年2月にはバングラデシュのチッタゴン北部において、タイ北部在住バングラデシュ系移民の祖先と現在の親族の状況に関し、特に出身地周辺に絞りインタヴュー調査を実施(高田)。その後、ダッカでムスリムの生活について現地視察を実施(高田、長田、竹口)。 2014年3月8日~9日に、京都大学東南アジア研究センターにて、International Workshop on “Reconsideration of the Historical and Contemporary Land-route Connection between South Asia and South East Asia”を企画、開催。このワークショップは、研究分担者の藤田がコーディネーターとなり、開催準備から実施に至る調整を行った。ワークショップでは、タイのチュラーロンコーン大学ムスリム研究センターのDr. Srawut Areeをタイから招聘し、報告を行ってもらった他、研究代表者(高田)以下、これまで当プロジェクトに研究協力者として参加したメンバー(長田、小島、竹口)、さらに関連テーマでの研究業績がある大阪大学の村上忠良氏にも参加を仰ぎ、報告、議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記(研究実績の概要)の通り、2013年度はタイ北部、タイ中部、バングラデシュで調査を行った。研究代表(高田)が統括する部分では、対象とする3グループ(タイ北部の旧ベンガル系(=現バングラデシュ系)ムスリム、ネパール系移民、ビルマ系ムスリム)のうち、特にバングラデシュ系ムスリムについて研究の進展が大きく見られた。タイ北部とバングラデシュでの調査から、これまで曖昧模糊としていた出身地が、一部の人々に関しては、特定の集落レベルにまで絞り込んで聞き取りを行うことができた他、これまで知られていなかった親族的な繋がりも判明し、今後の調査へ結びつけることが可能になった。ネパール系移民についても、一定の進展が見られた。タイへの移住経路が可視化されつつある上、初期移住地の状況が明らかになり、急激にバンコク等への再移住が生じていることも確認された。他方、ビルマ系ムスリムに関しては、ビルマ国内でのロヒンギャ問題を初めとするムスリムへの厳しい感情から、当面は調査をタイ国内に限る他なく、その多くが不法移民状態であることから、思うように研究は進んでいないのは残念である。 なお、分担者(藤田)が統括する部分は、取りまとめを進めている。 さらに、2013年度は、これまでのプロジェクトの進捗状況を確認することも含めて、小規模ではあるが国際ワークショップを企画開催し、無事に終了した。ワークショップではタイからの研究者を初め、プロジェクト参加者の多くが報告を行い、実りある議論を行えたことは大変有意義であった。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに昨年度(2013年度)までの調査研究で明らかになった点を基に、2014年度も調査研究を継続する。具体的には、8月ないし9月に、研究代表(高田)が協力者(長田、竹口)と共にタイで、バングラデシュ系ムスリム・コミュニティの聞き取り調査を行う。昨年度、バングラデシュでは予想以上に詳細な情報を得ることができた。今回は、その際に得た情報を基に、タイ側でクロス・チェックとなるインタヴューを実施する。当然、聞き取りは細部に及ぶ見込みである。また、可能な範囲でネパール系移民、及び、ビルマ系ムスリムについても調査を実施したい。 ミャンマー系移民労働者に関しては、研究分担者(藤田)が補足の調査、情報収集をタイで行う予定である。 なお、2014年度はこのプロジェクトの最終年度に当たる。そのため、それぞれの対象グループについて、一方では調査研究を継続しつつ、他方では、締めくくりに向けて動かなければならない。すでに2014年3月には、これまでのまとめを兼ねて、小規模ながら国際シンポジウムを開催し、本プロジェクト関係者が発表を行った。それを基に、秋を目途として、暫定的な調査報告を取りまとめる。さらに、取りまとめた報告を基に、研究会を実施し、その内容についてメンバー間で議論を行う。最後に、以上を基に、年末から年明けを目途に、報告集を作成・刊行することを目指す。
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Research Products
(8 results)