2011 Fiscal Year Annual Research Report
海外所蔵北朝鮮関連資料の収集・翻訳・刊行調査研究1948~1991
Project/Area Number |
23402021
|
Section | 海外学術 |
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
森 善宣 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (80270156)
|
Keywords | 粛清 / 個人崇拝 / スターリン批判 / 8月宗派事件 / 個人独裁 / 平和共存 / 農業協同化 / 海外帰還事業 |
Research Abstract |
2011年度の研究実績としては、主に収集において重要な成果と展望を得ると共に、翻訳・刊行についても2012年度からの明確な見通しを立てることが出来た。 まず、2011年度は中ロ東欧諸国の北朝鮮関連資料を大量に収集できた。この中にはウッドロー・ウィルソン国際研究センター主催の「国際冷戦史研究(CWIHP)」に含まれる資料も少なからず入っているものの、北朝鮮内部での金日成による粛清と個人崇拝の進展過程を如実に示す外交記録、朝鮮停戦後の経済復興をめぐる困難な状況、ソ連の「平和共存」政策と北朝鮮の巧妙な対応、「スターリン批判」の波紋と北朝鮮指導部の混乱、いわゆる「8月宗派事件」から中ソの北朝鮮の内政介入経緯、金日成が個人独裁政権を樹立する過程、そして1960年代に開始される北朝鮮の核開発問題など多種多様な問題に関して、いま直ぐにでも数十本の論文を執筆できる程の第一次資料を獲得できた。 これらの資料を用いて、研究代表者は現在2本の論文を作成中であり、2012年度に英文雑誌へ掲載されるように準備中である。同時に、これら資料の購入と合わせて、北京大学韓半島研究中心(朝鮮半島研究センター)所蔵にかかる資料の全容を把握できたことにより、2012年度からの資料の収集に展望を得た。これら諸点については、2012年度の研究実施計画に詳しいので、参照されたい。 次に、既に入手した資料の翻訳・刊行については、共同研究者で朝鮮半島研究センター副所長の金東吉氏との協力の下、2012年度の後半までに翻訳対象となる資料を確定、翻訳担当者への依頼を経て来年度の前半に翻訳を終える見通しが立った。この作業は、2013年度の第一次刊行を手始めとして、2014~15年度へと続き、全体で3巻からなる「北朝鮮現代政治外交資料集成1950~1991年」(仮題)として出版されるであろう。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の申請額よりも補助金の支給額が少なく、研究開始初年から収集資料の翻訳作業に着手することは出来なかったが、翻訳対象を絞り込むことにより2012年度から翻訳に取りかかる目途が付いた。共同研究者からの協力も積極的で、資料の全容を提示してもらっただけでなく、既に2012年度の前半に購入する予定の資料を手交してもらっている。このような理由から推定して、今後の共同研究が順調に進展すれば、当初の目的に示した収集した資料の調査研究から英論文2本を作成して後の2013~16年にかけて、ほぼ毎年1巻のペースで翻訳資料集を刊行可能であろうと期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
初年度の方針に従い、次年度以降も共同研究者との共同研究を通じて成果を出すと共に、本調査研究の最終目的である北朝鮮資料の刊行も、既に出版社まで決定された段階に至って、すべからく順調に進むと推定される。問題点があるとすれば、支給を受けた科研費補助金では翻訳・刊行費用を充分に捻出できないので、さめて刑行費用を科研費の研究成果出版助成金により賄うことが必要となろう。2013年度の申請時に、是非とも本調査研究の成果を出版できるようにご高配いただきたい。
|
Research Products
(4 results)