2012 Fiscal Year Annual Research Report
消費行動における自己概念の役割に関する国際比較研究:消費者間の関係性を手がかりに
Project/Area Number |
23402040
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
木村 純子 法政大学, 経営学部, 教授 (00342204)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂下 玄哲 慶應義塾大学, 経営管理研究科, 准教授 (00384157)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 日仏国際比較 / 自己アイデンティティ / 母娘関係 / 個人主義 / 集団主義 |
Research Abstract |
本研究は、消費者行動研究における主要な概念である「自己概念」に注目し、それが消費行動でいかなる役割を演じるかについて、特に国際比較という視点から、複数の消費者間の関係性との関わりの中で探索的に明らかにすることを目的としていた。具体的には、日本とフランスという文化的に異なる国での「母親と娘」という関係性に焦点を当て、その特異性が彼女たちの購買前行動や購買意思決定、購買後の消費行動といった局面にいかなる影響を及ぼすのかについて、サーベイや実験、インタビューや観察、経験調査などの異なる複数の手法を組み合わせたアプローチにより収集されたさまざまな経験データの分析・解釈を通じて明らかにすることを目指した。異なる国における文化的差異に注目することにより、自己概念の更なる精緻化を試みた。 平成24年度の研究実施計画として本研究におけるキー概念の抽出、およびそれら概念の精緻化、さらに概念間関係に関する更なる知見を得ること、および関係性の相違が購買行動や消費行動にいかなる差異をもたらすかについての国際比較分析を試みることを挙げた。 研究成果の意義と重要性として、理論的には(1)自己概念の更なる精緻化を促し、(2)消費における関係性の重要性を経験データと共に示し、(3)国際比較を通じてより高い外的妥当性の保持に努めることができた。実務的には、(1)日本における母娘市場の拡大という現状に対していかなる施策を打つべきかについて、母娘関係の特異性を明らかにすることで具体的な解を示し、(2)日仏という異なる文化的背景での市場においていかなるマーケティングが有効であるかについて示唆を提供することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、平成24年度の研究実施計画としてキー概念の抽出、およびそれら概念の精緻化、さらに概念間関係に関する更なる知見を得ること、および関係性の相違が購買行動や消費行動にいかなる差異をもたらすかについての国際比較分析を試みることができた。 平成24年度にフランスの調査協力者の1名が妊娠・出産をしたため、共同研究のやり取りの頻度とペースが一時期減少したことがあった。未熟児の出産だったため、赤ちゃんがしばらく入院することになったため研究の時間を取ることが難しかった。 しかしながら、調査協力者は子育てをしながらも研究の時間を取り、研究者らは一丸って2つの国際学会への論文投稿を行うことができた。1件についてはすでに査読結果が出てアクセプトされている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成25年度は、初年度、二年度の研究活動を見直しつつ、必要に応じて追加的な調査を行う。これら一連の研究活動から、本研究の概念モデルを構築し、その精緻化に努める。そして、キー概念をベースに調査仮説を洗練し、最終的に検証対象となる仮説の絞込みを行う。次に、さまざまな方法論に関する研究蓄積をレビューし、調査仮説の検証方法の構築および洗練化を目指す。したがって、方法論に関する関連書籍や、検証に必要な環境のための資材を購入する予定である。 国内外の学会報告や学術雑誌などでの研究成果の発表を通じて、研究によって得られた理論的、実務的貢献について広く社会に情報発信することに努めると同時に(海外学会での発表のために、旅費として若干額を支出する可能性がある)、更なる研究課題の抽出を試みる。
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