2012 Fiscal Year Annual Research Report
住民参加型の「社会開発CSR評価指標」の探求‐インドでの実地調査をもとに
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23402051
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Kibi International University |
Principal Investigator |
橋本 由紀子 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (70330628)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米良 重徳 吉備国際大学, 保健医療福祉学部, 教授 (90412246)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 社会開発 / 企業の社会貢献 / CSR評価指標の開発 / インド |
Research Abstract |
本年度の研究の目的は1.「社会開発と企業の持続可能性との両立を図る戦略的CSRにとって、住民の意思決定参加型が有効である」を調査により証明する。2.インド・プネの2つの産業地区、ランジャンガオン、タレガオンでプネのカルベ大学院の協力を得て、質問票に基づき同地区住民合計200名に対し面接聞き取り調査を行い、地域の社会開発の経年度変化をみる。3.CSR評価指標に、①地域への経済的インパクト、②住民参加の程度、③社会的インパクト、④社員ボランティア参加の効果、に焦点を当てた評価指標修正を試みる。4.当該地区の対象企業10社に、調査結果を報告し、改善の提案を行う。5.本研究対象地区ランジャンガオン100世帯、タレガオン100世帯での調査から得られたデータを基に因子分析を行い、住民参加の程度、地域の経済的、社会的、インパクトを測定し、最終的に「住民参加型社会開発CSR評価指標」を開発する。その結果を、スウェーデンの社会開発学会、マレーシアのビジネスリサーチ学会大会で研究発表する。 研究の意義:インド政府は2012年12月企業収益の2%をCSRに投資することを法的に義務化した。CSRの義務化が促進される中で、CSRの成果や質的向上が問われ、客観的CSR評価指標が必須となっている。CSRの法的義務化は先進国や日本でも慢性的な資金不足に悩むNPOには朗報であるが、義務化が社会開発に効果的なインパクトを与えるか否かは議論が分かれる。 ヨーロッパやCSR先進国の企業はインドとのビジネス関係締結に熱心であり、CSR活動も活発に展開している。しかし日本企業はCSR意識に関しては他国に劣っており、インド市場や他の開発途上国でビジネスを展開しようとする企業にとっては貴重な研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) 目的1.はすでに証明した。2.は現在データ分析中である。3.はすでに4項目を追加した調査票を開発し、現在精査中である。4.に関しては、企業を10社訪問し、CSR担当者と話し合ったが、CSR担当者、CSR部門にソーシャルワーカーが配置されているかが大きくCSRの成果を左右することが明らかになった。これまでの研究成果を、スウェーデンの社会開発学会、マレーシアのビジネスリサーチ学会大会で研究発表した。今後義務化かフィランソロピーかどちらが社会的インパクトを与え支持されるかは、各国の文化により異なるという意見がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方法: 修正「住民参加型社会開発CSR評価指標」を基に再度住民調査を行い、普遍的意味を持つかどうかを確認する。CSR調達や評価は文化特定型であることは、おおむね関連研究者は同意しているが、できる限り普遍的なCSR評価指標に修正していく。これまでの研究成果をフィリピンの社会開発学会大会で研究発表し、また、タイ、バンコクで開催される「CSR Asiaサミット」でカルベ大学院の研究協力者とともに発表報告する。そして最終的にはインド市場参入希望の企業やNPO、地方自治体の関係者を対象に日本で研究報告会を行う。
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Research Products
(2 results)