2012 Fiscal Year Annual Research Report
失業者への心理的援助プログラムの開発と効果評価-海外の実践に日本文化を融合して
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23402057
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Section | 海外学術 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 美保 東京大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (10549281)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 失業 / 心理的援助 / 国際海外情報 / アメリカ / オーストラリア / プログラム |
Research Abstract |
1. 失業者に対する心理的援助の海外フィールドワーク:平成24年8月にオーストラリアのUniversity of South AustrariaのWinefield 教授を訪問した。同大学のDollard教授、スウェーデンのUmea大学のStrandh教授と失業研究発表を行った。10月にはUniversity of MichiganのPrice教授を訪問した。Vinokur教授、Joe先生、フィンランドのJukka教授、Wishart先生、Barnaby氏と合同で失業研究会を行った。彼らが開発したJOBsプロジェクトの情報提供を受けるとともに、Baltimoreのプログラム自体に参加した。平成25年3月にオーストラリアを訪問した際に、The University of New South Wales大学の Harris教授、Rose先生を訪問し、”Improving the Health of People who are Unemployed through the Job Network”の情報収集を行った。 2.失業者のメンタルヘルス研究:平成23年度に開発した「失業者に対するスティグマ尺度」と日本語版LAMB-Jを用いた大規模インターネット調査のデータを基に論文執筆、結果公表活動を行った。 3.日本固有の心理療法研究:日本の心理療法を失業プログラムへの活用可能性を検討するために、日本内観療法学会や日本森田療法学会に参加した。森田療法学会では一部シンポジウムを企画することで失業者の社会復帰にこれらがどのように活用されうるかについて可能性を検討した。また、オーストアラリア訪問時に、心理療法の世界で注目を集めているMindfulnessのセミナーに参加し、この失業研究への適用可能性についても検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
海外のフィールド調査研究については、予定通り、アメリカのMichigan大学の失業研究グループ、オーストラリアのUniversity of South Australia大学の国際的な失業研究者の訪問を行うことができた。さらに、他の研究プロジェクトの一環でオーストラリアに出張した際に、当初計画では予定していなかったオーストラリアの実践プログラム“Improving the Health of People who are Unemployed through the Job Network”の研究者訪問も実現した。 また、失業者のメンタルヘルスとスティグマおよび失業者の生活に関する国際比較研究についても、平成23に度実施したインターネット調査研究の分析を行い、論文の執筆と成果公表活動を進めることができた。 さらに、日本固有の心理療法についても、学会活動を通して推進した。特に、本学が日本森田療法学会の開催校を引き受けたこともあり、シンポジウムを企画するなど予想以上に活発な議論を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、この2年間で収集してきた海外の失業プログラムの情報を整理するとともに、文献の整理も行い、日本の失業プログラムの開発を行う。その際、日本固有の心理療法などの知見も含めて、日本の固有性、また臨床心理学という学問的アプローチの専門性を生かしたプログラム開発を行う。 さらに、海外の研究者を招聘して、日本における失業者支援の在り方に関してシンポジウムを企画する。同時に、シンポジウムの意見や海外の研究者の助言・アドバイスを失業プログラムに反映し、洗練化する。 さらに、これまでの知見を基に、インターネット上で情報提供を行うとともに、失業プログラムを展開するためのプラットフォームとしてWebサイトの作成を行う。 同時に、内観療法、森田療法、Mindfulnessについての理解を深めるとともに、それらのプログラムへの適用可能性を引き続き検討する作業を進める。 また、失業者のメンタルヘルスに関する量的調査のデータ分析と結果公表を引き続き推し進めるとともに、失業者のメンタルヘルスを改善を測定するライフキャリアレジリエンス尺度を完成し、プログラムの効果評価が行える体制を整える。そのために、これまで開発した失業者に対するスティグマや失業者の生活に関する尺度(LAMB-J)に加え、ライフキャリアレジリエンス尺度を投入し、これらの関係性を検討するための調査を実施する。
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