2012 Fiscal Year Annual Research Report
日系国際児の日本文化の継承と文化的アイデンティティ形成および教育支援に関する研究
Project/Area Number |
23402063
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
鈴木 一代 埼玉学園大学, 人間学部, 教授 (40261218)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 日系国際児 / 文化的アイデンティティ / 教育支援 / 教育心理学系 / 異文化間教育学 / 日本語・日本文化継承 / 青年期以降 / インドネシア:ドイツ |
Research Abstract |
二年目にあたる本年度は、アジア(インドネシア)およびヨーロッパ(ドイツ)在住の日系国際児の日本文化・日本語の継承、現地文化・現地語の習得、文化的アイデンティティ、国籍選択などに関して詳細に把握し、両者を比較検討することによって教育支援について明確にするという研究目的を達成するために、昨年度築いた調査基盤の上に、さらにデータの収集をおこなった。具体的には、インドネシア(バリ州)で2回(8月から9月、および2月から3月)、ドイツ(ノルトライン=ヴェストファーレン洲)で2回(5月、10月から11月)の合計4回(各約10日から約2週間)のフィールドワークを実施した。日系国際児(高校生以上)への半構造化面接、日本語補習授業校の高校生クラスにおける見学や参与観察、教師や保護者からの聞き取りをおこなった。さらに、インドネシアでは現地の高等学校の見学、ドイツでは「ドイツ地区補習授業校現地採用講師研修会」(11月)に参加した。両国(地域)において、予定したデータを得ることができた。また、日本国内においても、一時的に日本に滞在している日独国際児の調査(追跡調査を含む)を実施した。なお、各国の調査の際には、次年度に予定している継続調査のための準備もおこなった。 収集したデータについては、昨年度のデータと合わせて整理し、日本-インドネシア国際児と日本-ドイツ国際児のそれぞれに関して分析を進めた。 研究成果の一部については、異文化間教育学会(6月)においてはケース・パネル型発表、日本教育心理学会(11月)においては自主シンポジウムをそれぞれ企画兼発表し、また、パーソナリティ心理学会(10月)および日本発達心理学会(3月)では学会発表をおこない、さらに、論文としてまとめた。本研究の性格上(追跡的・継続的研究)、これまでの科学研究費等による研究成果も一部盛り込まれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドネシアおよびドイツでのフィールドワークがほぼ計画通りであり、データの収集・整理・分析がおおむね順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの調査基盤の上に、インドネシアおよびドイツにおいて調査を継続する。具体的には、日本語補習授業校や現地校での見学や参与観察などを通じて、日系国際児をめぐる現地の状況やその変遷を多面的に把握すると同時に、面接調査への参加者(日系国際児)を増やしたり、追跡調査を実施することによって、データを充実させ、国ごとの整理・分析をさらに進める。また、インドネシアやドイツから日本に移動した日系国際児に対しての調査も実施する。 研究成果の一部については、学会で発表し、また論文としてまとめる。
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