2012 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアバイオマス国際ネットワーク構築に向けた技術シナジーのフィージビリティ
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23404029
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中田 俊彦 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20260416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古林 敬顕 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40551528)
國光 洋二 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業工学研究所, 研究室長 (30360390)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | バイオマス / エネルギーシステム / ネットワーク / 東アジア / 技術シナジー / カーボンニュートラル / バイオフュエル / 国際取引 |
Research Abstract |
本研究では、東南アジア各国を対象として、(1) バイオマス資源の賦存量の現況調査と将来ポテンシャル評価、(2) エネルギー変換技術の現況調査と将来ポテンシャル評価、(3) 多層リレーショナルデータモデルの開発(地勢データベースの作成)、(4) 社会・経済的側面を含めた統合評価を行う。 当該年度は、(2)及び(3)を行った。チップ化、ペレット化、半炭化等の固形燃料製造技術及び、バイオエタノールやバイオディーゼル等の液体燃料製造技術の現状を調査した。また、石炭火力発電所での混焼、自動車用燃料としてのガソリンとの混合利用等、製造したバイオ燃料とエネルギー変換技術との組み合わせについて調査した。 木質バイオマスの固形燃料製造については、ボイラで燃焼する前の破砕ミルの形状により、投入可能な燃料形態が異なることが明らかとなった。特に、日本国内の微粉炭化力発電所で用いられているミルの場合、チップや炭化物では十分な破砕ができず、混焼率3~5%が上限となるため、より大きな混焼率のためにはペレットを用いることが求められる。混焼率の向上による石炭使用量の削減と、木質バイオマスの収集及びペレット製造に伴う化石燃料消費量との間にトレードオフが生じるため、混焼利用にはシステム全体の最適設計が求められる。一方、開発途上国で流動床ボイラ等を使用している火力発電所では、エネルギー効率は低いが、よりフレキシブルな燃料を利用できるため、チップでの高い混焼率も可能だと考えられる。得られた調査結果を元に技術データベースを作成し、前年度作成した地勢データベースに基盤に組み合わせた。 東アジア全体での低炭素化を図る場合、日本等の先進国まで長距離を輸送しての高効率利用と、低い効率だが短距離輸送の発生国内での利用とを考慮し、全体を最適化する必要があることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、東南アジア各国を対象として、以下のように段階的に行う。(1) バイオマス資源の賦存量の現況を調査し、将来ポテンシャルを評価する。(2) エネルギー変換技術の現況調査し、将来ポテンシャルを評価する。(3) 多層リレーショナルデータモデルを開発(地勢データベースを作成)する。(4) 社会・経済的側面を含めた統合評価を行う。 当該年度では、(2)及び(3)を行った。東アジアおよび東南アジア各国を対象として、バイオマス利用技術の現状と将来展望を調査し、データベースを作成した。バイオマスのエネルギー利用を、前処理技術とエネルギー変換技術に分類し、それぞれについて調査した。前処理技術は、チップ、ペレット等を製造する固形燃料化技術、バイオエタノールやバイオディーゼルを製造する液体燃料化技術、バイオガスを製造するガス化技術に、さらに詳細に分類した。また、エネルギーの需要として、電力、熱、自動車用燃料を定義した。前処理によって製造されたバイオ燃料を利用することができる、ボイラや発電機等のエネルギー変換技術との組み合わせを明らかにした。開発途上国で普及している既存技術と、先進国で普及している先進技術、さらに現在研究開発中である最先端技術について、エネルギー効率、経済性を評価した。 当初の計画では、当該年度はエネルギー変換技術の現状調査と将来ポテンシャル評価を行う予定であったため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに調査したバイオマス資源、エネルギー変換技術のフィールド基礎データを加工して、対象国の地勢状況を体操に表現するリレーショナルデータモデルを開発する。バイオマス資源の散在密度を表す点データ、土地利用状況を表す面データ、河川や陸運による運輸インフラを表す線データ等、属性の異なる多様な数値情報を、デジタル処理してレイヤー構造で整理する。 また、バイオマスデータ間の属性を要因分析するとともに、国際取引を想定した場合のロジスティクスの基礎データモデルを作成する。国際間の輸送ルート、資源巣用又はエネルギー転換後によるルート選択、それに伴い必要となる貯蔵や流通のインフラの配置等、バイオマスの流通に係わる経済性、エネルギー効率を参照して、東アジア地域の風土に適合する定量データモデルを作成する。 研究を遂行する上での問題点として、国や地域毎のデータの量や精度に差があることが挙げられる。例を挙げると、マレーシアのオイルパーム栽培は国や企業の管理の下で大規模に行われている事例が多く、各州等の地域における農地の規模や位置、生産量等について十分な統計データが存在する。一方、マレーシアと同じくオイルパームを大量に栽培しているインドネシアでは、個人農家が栽培している事例がマレーシアに比べて非常に多く、統計データは散逸して存在する。このように、資源の生産量を地勢データ上に加工することが困難な場合、対象国の生産量を国内の各地域の面積に基づいて割り付ける、生産される資源の発生地点を各地域の中心部にする等の仮定をおき、得られたデータを加工し、リレーショナルデータベースを作成する。
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Research Products
(18 results)