2013 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯多島海域における大気降下物由来窒素負荷と海洋酸性化に対する炭素循環の応答
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23405002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮島 利宏 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20311631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 敦 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00378001)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 海洋生態 / 環境変動 / 炭素循環 / 酸性雨 / サンゴ礁 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度は当初計画では年度内の雨季(9~10月)と乾季(12~1月)に本事業で立ち上げた屋外水槽施設を用いた短期酸性化操作実験を実施する予定であったが、6月に現地研究者を交えた検討会議の結果、より精密に飼育条件を制御できる室内実験設備(同じ実験施設内にある空調のある部屋)を利用した酸性化応答実験をまず実施して条件検討を精密に行うことが適当と判断されたことから、7月以降に現地研究者を中心に室内実験を集中的に実施した。実験は順調に終了し、試料の分析・データ解析もすでに完了している。これに加え、サンゴの酸性化応答の種間比較の観点を取り入れるため、同じ屋外水槽施設を用いた酸性化応答実験を企画し、25年度末の段階で現在進行中である(26年10月までに終了)。 現場における観測調査として、ルソン島ボリナオ沿岸域の内湾部・サンゴ礁域各1サイト、パナイ島バナテ湾周辺の海峡部と河口域各1サイト、ミンダナオ島ラギンディンガン沿岸のサンゴ礁域の1サイトの5箇所でシノプティックなグリッド採水を雨季(9月)と乾季(3月)に1回ずつ実施し、炭酸系パラメーター、栄養塩類、溶存・懸濁態有機物濃度ならびに安定同位体比の空間変動パターンを調査した。またミンドロ島プエルトガレラ海域では湾内外をカバーする広域シノプティック調査を同様に2回実施した。データは沿岸水流動を支配する物理特性ならびに陸域との相互作用の観点から解析し、得られた知見を平成27年1月にマニラで行われた国際ワークショップで発表した。 フィリピン国内の3箇所で実施している大気降下物負荷のモニタリングを目的とした通年の降雨観測と時系列降雨試料の分析は本年度も継続している。ただし降雨の分析に不可欠な水同位体比分析装置が7月以降故障しているため、サンプルの解析が停滞している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
屋外水槽施設を利用した酸性化操作実験に関しては現地の状況に応じて一部順序や内容を変更して実施している。現地観測による調査活動は当初計画されていたよりも精密な内容で実施しており、そのためサンプルの処理が追いつかない場合があったが、26年12月までに遅延はほぼ解消された。水の安定同位体比を測定する装置が長期間故障して使用できない状態にあったため、この関係の分析項目(海水・降水・河川水)のみ進行が遅滞している。
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Strategy for Future Research Activity |
水同位体比測定装置は26年度末にようやく修理が完了して測定が進められる状態になったので、早急に分析を進めて結果を取りまとめる。また既に得られている成果の論文化を早急に進める。
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Research Products
(4 results)