2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23405041
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Section | 海外学術 |
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
横山 直明 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (80301802)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 昇 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (10271751)
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Keywords | タイレリア / バベシア / ベトナム / ウシ / 水牛 / 疫学調査 / 遺伝子診断 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
平成23年度では、ベトナムにおける家畜の住血性原虫病(タイレリア病とバベシア病)の流行実態の解明と防疫対策の技術向上を目指し、次のような内容で研究計画を実施した。 1)現地疫学調査を成功裏に終わらせるために、予め各種標的原虫(タイレリアとバベシア)のマーカー遺伝子や診断用遺伝子を国内ラボで探索し、各種病原性原虫に特異的な遺伝子診断法や遺伝子多型解析法等の確立を行った。2)ベトナムの中間都市であるフエを拠点とし、フエ大学スタッフの協力のもと、フエ地方で飼育されている牛(ベトナム黄色種)、水牛、羊、山羊から計158検体の血液を、また計85の体表マダニ検体を回収した。得られたサンプルからDNAを抽出し、上記診断法と解析法を用いて分子疫学調査を実施した。3)得られたDNAサンプルからタイレリア(Theileria orientalis)の検出を試みたところ、それぞれ牛(13.8%)、水牛(25.6%)、羊(4.8%)、及びマダニ(10.6%)が陽性を示した。MPSP遺伝子を標的とした遺伝子多型解析を行った結果、ベトナムには従来から他国で報告のあるタイプ1、3、5、7に加えて、新型のタイプN-1、N-2、N-3のタイレリアが存在することが明らかとなった。4)国内ラボで確立した種々の診断法や遺伝子多型解析法とフィールド疫学調査の成果を学術論文として発表するとともに、現地共同研究者にもその技術と成果を報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)疫学研究に必要な、各種標的原虫の特異的な遺伝子診断法と遺伝子多型解析法を国内で予め確立できたこと、2)実際にベトナムに行き、フエ大学と共同で、フエ地方で飼育されている家畜動物の血液と体表に吸血しているマダニ検体を着実に回収できたこと、3)得られたサンプルから病原性タイレリアを検出し、かつその遺伝子多型を明らかにできたこと、4)それらの成果を学術論文として発表できたこと等、当初の計画を着実に遂行することができ、かつ成果を得ることに成功した。本研究課題は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、ベトナムにおける家畜の住血性原虫病(バベシア病、タイレリア病、及びトリパノソーマ病)の流行実態の解明と防疫対策の技術向上を目指している。今後の研究の推進方策として以下の項目を実施する。 1)フエに加えて、ハノイなどその他のベトナムの主要都市の分子疫学調査を実施する。2)各種原虫のマーカー遺伝子や診断用遺伝子の探索、血清診断法・遺伝子診断法の確立、及び遺伝子多型解析の確立や向上を行う。また、現地調査の成果に基づき、より簡易で迅速な診断法の開発、組換えワクチン抗原の作製、及び薬剤候補の探索を国内ラボで実施する。3)ラボで確立した種々の診断法や遺伝子多型解析のフィールド応用を図る。また、フィールド疫学調査のデータを、現地に適した診断法、予防法、及び治療法の開発にフィードバックする。4)①疫学調査の成果を日本国内の動物検疫機関に提供し、国内検疫体制の強化に資する;②東南アジア各国の関係機関に情報・助言を提供し、各国の診断・予防・治療対策の向上に資する;③OIEにも随時情報を提供し、グローバル規模での疾病制御に貢献するなど、情報提供と発信を行う。
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