2011 Fiscal Year Research-status Report
形式言語の効率的学習アルゴリズムの開発及びその応用システムの構築
Project/Area Number |
23500011
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
若月 光夫 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (30251705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
富田 悦次 電気通信大学, 名誉教授 (40016598)
西野 哲朗 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (10198484)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 計算論的学習理論 / 正例からの学習 / 極限同定 / 等価性判定 / アルゴリズム / 決定性文脈自由言語 / プッシュダウン変換器 / 多項式時間可解性 |
Research Abstract |
形式言語の部分クラスの中で実用上重要な決定性文脈自由言語を受理する決定性プッシュダウンオートマトン(DPDA),またはそれに対応した文法等に対して,その構造に妥当な制約を課した幾つかの部分クラスを研究対象として選び,計算論的な手法によって学習アルゴリズムを開発し,その応用を図ることを目的として研究を行った.本年度は以下の研究成果を得た.1.学習アルゴリズム開発の基礎構築 DPDAに出力機構を付与した決定性プッシュダウン変換器(DPDT)の部分クラスのうち,スタック記号が1種類で受理方式を最終状態受理式とする,実時間の決定性限定1カウンタ変換器(DROCT)に対して,多項式時間の等価性判定アルゴリズムを開発した.また,この実時間の制約を緩和した,ε動作をもつ最終状態受理式DROCTに対しても,その等価性判定が多項式時間で行えることを示した.受理言語が正則言語を真に含むDPDTの部分クラスについて,そのDPDTの記述長に関する多項式オーダの時間で等価性判定が行えるとの結果は,これが初めてである.この成果は対象とするDPDTに対する質問による学習に利用できる.2.学習アルゴリズムの応用 正則言語の部分クラスであるk可逆言語の正例からの極限同定アルゴリズムを組み込んだ,鳥(ジュウシマツ)の歌構造解析ツールEUREKAを利用することによって,親鳥の歌から幼鳥が学習する過程や,親鳥とその子が獲得した歌構造の類似性に関して解析を行った. この他,最大クリーク抽出アルゴリズムや量子セルオートマトンを用いた画像圧縮,遺伝的アルゴリズムを用いた大貧民の思考ルーティンの進化的学習に関して,幾つかの新たな成果を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学習アルゴリズム開発の基礎となる等価性判定アルゴリズムの開発について,受理言語が正則言語を真に含む,ε動作を許した最終状態受理式DROCTに対し,その等価性判定が多項式時間で行えることを示した.しかし,多項式時間で等価性を判定できることを保証するため,現状ではε動作に制約を課さざるを得なかった.ε動作に制約のない,最終状態受理式DROCTに対して等価性判定が多項式時間で行えるようにするには,アルゴリズムを拡張する必要がある. 学習アルゴリズムの開発については,準同型写像による変換によって拡張された言語クラスを対象とした,正例からの極限同定の統一的手法に関する研究成果をまとめ,論文投稿の準備を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
学習アルゴリズム開発の基礎構築については,これまでに研究成果として得てきた等価性・包含性判定アルゴリズムを基にして,その手法を発展させることによって,構造の制約を緩和した更に上位の言語クラスに対する判定アルゴリズムを開発し,その簡単化・効率化を図る.具体的には,ε動作に制約のない最終状態受理式DROCTに対する多項式時間の等価性判定アルゴリズムを開発する. また,学習アルゴリズムの開発については,これまでに開発してきた学習アルゴリズム等の研究成果を基にして,その手法を発展させることによって,更に上位の言語クラスに対する,MAT学習等の質問を用いた学習や極限同定による学習を行うアルゴリズムの開発を行い,その多項式時間学習可能性を明らかにする.具体的には,最終状態受理式DROCTに対する質問による学習や,その部分クラスに対する極限同定を行うアルゴリズムを開発する. 更に,これまでに開発してきた学習アルゴリズムを適用することによって,実際的な問題への応用を図る.具体的には,鳥の歌解析システムEUREKAの改良のため,準同型写像による変換によって拡張された言語クラスに対する正例からの極限同定の統一的手法を利用することによって,バウトと呼ばれる複数の文に対応する連続音声データをソングユニットと呼ばれる文単位に自動分割する機能を導入する.また,人工生命やマルチエージェントシステムにおける各個体(エージェント)の挙動の制御モデルを順序機械等のオートマトン(や変換器)として捉え,個体の挙動の履歴からオートマトンの入出力列の例を生成し,そのオートマトンに対する正例からの極限同定アルゴリズムを適用して,個体の制御モデルの同定や挙動の予測を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
得られた研究成果を国内外の国際会議や国内学会の研究会等で発表するため,旅費を使用する.また,研究成果を国内外の論文誌へ英文論文として投稿するため,その他の直接経費として英文論文校閲料を使用する.更に,論文原稿等の作成・推敲の過程で印刷を行うため,プリンタトナーや印刷用紙等の消耗品が必要であり,消耗品費を使用する.
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Research Products
(12 results)