2013 Fiscal Year Research-status Report
大規模データ処理に向けたアルゴリズム設計理論の展開
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23500014
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
藤戸 敏弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00271073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 洋志 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80434893)
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Keywords | 近似アルゴリズム / オンライン問題 |
Research Abstract |
1.侵入者と守衛の間で行われるグラフ護衛ゲームでは,予め決められた領域(グラフ)に複数人の守衛を配置し,侵入者のいかなる戦略に対しても,領域への進入を防ぐことが求められる.グラフ護衛問題とは,同ゲームで必要となる最小の守衛数を求める問題であるが,本研究では,侵入者の動作領域を従来より拡張しても,高精度な近似計算が可能であることを示した. 2.多状態スキーレンタル問題は,例えばノートPCのように,複数の省電力モードを備えた機器のモード間の自動遷移戦略を理論的に考察する枠組みである.Damaschke は省電力モード数が任意にとれる場合について競合比の下界を示したが,本研究では Damaschkeの手法を拡張し,省電力モード数を入力とするスキームを設計し,初めて省電力モード数が5以上の個々の場合についての競合比の下界を証明した. 3.逐次与えられる単位重みを円周上になるべくバランス良く配置する問題を考察した.バランスは,配置した単位重みの重心と原点との間のユークリッド距離で評価している.この問題は遠心分離器や洗浄機の設計,および人工衛星の軌道計画に応用がある.本研究では競合差基準での最適配置戦略を与え,さらに配置先が円周n等分点に限定される場合について,競合差の保証を備えた簡潔な戦略を設計した. 4.ビンパッキング問題は,均一の容量のなるべく少ない数のビンを用い,与えられるアイテム全てを詰める問題であり,永く理論計算機科学における重要なトピックである.本研究では,各ビンに詰められるアイテム数が高々2に制限される場合について,既存の競合比下界を改良した.またそのアイテム数制限を入力とし競合比下界を導くスキームを設計し,アイテム数制限が 4, 5 および10から41までの場合について既存の競合比を改良した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,前年度からの「数理計画法による系統的設計法の開発」および「入力情報の局所的アクセスと確率的サンプリング」に加えて,「部分入力情報から高速計算可能な問題の構造解析」というテーマに着手した.その中で,「グラフ護衛ゲーム問題」,「多状態スキーレンタル問題」,「円盤状のオンライン配置問題」,「オンラインビンパッキング問題」に取り組み,「研究実績の概要」で述べたような成果を上げることができた. 更に,線形計画緩和に基づく主双対法による最適化手法の可能性とその理解を深化させるべく,「グラフの辺多重支配集合問題」に対して,より高度なアルゴリズムで双対解を計算するアルゴリズムの開発に成功したが,年度内に本成果の取りまとめを完了することができなかったため,研究期間を延長し,次年度早々に取りまとめを終え,国際会議にて成果発表となる予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの達成度」で述べたように,本研究で残された作業は,一部成果の取りまとめ,論文執筆,および成果発表だけである.同成果の確認作業は終えており,残されているのは機械的作業のみであるため,短期間で問題なく完了されるはずである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度中に,3辺支配集合問題ならびに連結2辺支配集合問題に対する近似アルゴリズムの設計および性能解析を完了し,それらの結果を基に国際会議で発表する予定であったが,解析結果の最終確認と論文発表の取りまとめに予想以上に手間取り,年度内に論文投稿から学会発表までを実施することが難しくなったため,未使用額が生じた. 現在,上記研究成果を取りまとめて論文を執筆中であり,26年度の早い時期に論文投稿を行い,同年度内に国際会議での発表を行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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Research Products
(5 results)