2012 Fiscal Year Research-status Report
汎言語的メタプログラミング基盤としての健全な構文マクロ機構の研究
Project/Area Number |
23500034
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
脇田 建 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (10242265)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 晃 法政大学, 情報科学部, 准教授 (90396870)
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Keywords | Hygienicマクロシステム / 構文マクロシステム / 構文解析 |
Research Abstract |
本研究は,Hygienic構文マクロシステムのための系統的な実装方式とその応用を研究の目的とする.マクロシステムは、C言語、C++言語を始めとしてさまざまなプログラミング言語で使用されているが、さまざまな問題の原因となることも指摘されている。この点を改善するHygienic構文マクロシステムはLISPについて研究されてきたが、一般のプログラミング言語への応用は限定的であるため、本研究ではHygienic構文マクロシステムの設計と実装についての系統的な手法を見つけることを目的としている。 幸いにも,ほぼ当初計画に沿って,研究は進行しており,平成24年度は核言語としてJavaScriptを採用して,そのためのHygienic構文マクロシステムのプロトタイプを完成させ,それを用いた応用研究を開始することができた. Hygienic構文マクロシステムを実装する上での困難は,計画書にも記述した通り,以下の二点がある.(1)拡張可能な構文解析器の実装,(2) 汎用マクロ展開器の実装.前者については,解析表現文法を抽象層として取り入れることによって,ソフトウェアアーキテクチャを明瞭化することに成功し,既存研究に比較して,はるかに表現力が豊かマクロシステムをコンパクトに実装できることを示した.後者については,JavaScriptで実装することを敢て避け,Hygienicマクロを標準的にもつSchemeとの相互変換をすることによって実装できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,核言語に対するHygienicマクロシステムの実装とその応用例についての研究を予定していた.マクロシステムの実装については,新たに優れた実装方式を発見し,それに基いて高機能なマクロシステムを簡易に実装できることを明らかにし,着実に成果を生むことに成功した.国際会議でのポスター発表1件,国内会議でのポスター発表1件に加えて,現在,国内論文誌,国際会議についてそれぞれ1件の論文を投稿中である. 応用面については,平成24年度に実装したマクロ機能を利用して,いくつかの興味深いマクロ例を記述することができた.この記述実験の成果は前述の2件のポスターと1件の口頭発表にて,国内外に発表している.さらに、マクロシステムによる特化型言語の実装手法に関して、分担者(佐々木)が、「役割指向プログラミング」という手法について、昨年度から継続してその適用可能性を探っている。今年度は、昨年度の結果を受けてjavascriptをホスト言語とした、役割指向言語の実装について、そのプロトタイプを作成した。この結果の一部は国内会議にて1件、国内研究会にて1件、口頭発表にて報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,計画どおりに進めていく予定である.主な研究課題は,(1) マクロシステムの実装手法をさらに洗練させたブートストラップ技術の開発,及び,(2) 応用面ではさらに複雑な例として応用特化型言語の実装への応用とする.前者は,空言語に対してマクロ機能のみを用いて構文を与える試みであり,研究上の難度がさらに高い.今年度,開発に成功した解析表現文法を用いた層を利用することによって,美しい解決法を与えたい.(2)については実時間社会シミュレーション用のプログラミング言語,分散プログラミング言語などの記述を目指す予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度末にいつくかの学術論文を投稿しましたが、いずれも審査が完了せず、当初、予定していた研究公開のための費用が残ってしまいました。幸い、学会より採択通知が参りましたので、論文公開などを中心に平成25年度は,主に現在投稿中・執筆中の論文の成果発表のために研究費を利用する予定です。
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Research Products
(8 results)