2012 Fiscal Year Research-status Report
ストレージとネットワークの仮想化による電子情報の遠隔バックアップ技術の開発
Project/Area Number |
23500048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
天野 浩文 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (80231992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 耕二 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 教授 (70252830)
西村 浩二 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (90263673)
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Keywords | バックアップ / ストレージ仮想化 / ネットワーク仮想化 / 秘密分散法 / iSCSI / OpenFlow / クラウド |
Research Abstract |
重要な電子情報のバックアップを保持することの必要性はすでに十分認識されており,バックアップ採取は通常の業務の一環として広く行われている.しかし,組織の持つほとんどすべての機能が同時に大きな損害を受けるような大規模災害の際には,組織内で採取・保持されているバックアップ情報自体も同時に危険にさらされるおそれがあり,そのような事態を回避するためには遠隔地にバックアップを保存することが必要である. しかし,個々の組織がそれぞれ個別に遠隔地のバックアップ先を確保するコストは非常に大きいため,同じようなミッションを持ち広域に分散して立地する複数の組織が相互にバックアップを保持することが有効である.しかし,同時に,故意あるいは偶然に秘密情報がバックアップ先に漏洩してしまうことも防止しなければならない. そこで,本研究では,複数の組織が互いの秘密を保持したまま大規模災害に備えて安全に遠隔バックアップを相互保持することのできるシステムの開発を目指している. 平成24年度は,前年度までに開発した遠隔バックアップ相互保持のための各種機能を統合したプロトタイプシステムを完成させた.また,仮想化ストレージ装置に特有の応答性能の不安定性の解析を行った.さらに,電子認証技術を用いた安全な分散ファイル共有サービス,大規模災害で重大な機能縮退に陥っているネットワーク上で迅速にサービスを再開するためのOpenFlow技術を用いたネットワーク再構築手法の研究も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ストレージ仮想化技術と秘密分散法を用いる遠隔バックアップ相互保持システムの開発では,被災システムがその機能を完全に喪失しても保存した電子情報を復旧することのできるプロトタイプを完成させることができた.前年度までは個別のシステムで試作していた,応答速度を向上させ遠隔システムの保守作業時にもサービスを停止させずに運用するための遅延更新機能や,被災後の復旧を自動化するための機構などをひとつのシステムに統合している. クラウド技術の応用においては,昨年度に引き続き,独立したセキュリティポリシーを持つ複数の組織間で安全な分散ファイル管理システムとして,シングルサインオン機能を備えたストレージクラウド上に,ファイル所有者とファイルサーバ管理者の権限を完全に分離するシステム構成の研究を行った. また,OpenFlow技術を用いて,災害で重大な機能縮退に陥っているネットワーク上で迅速にサービスを再開するためのネットワーク再構築手法や,被災したサーバの持っていた機能を災害の影響を受けていない遠隔地に短時間で移送するライブマイグレーションを行う手法の検討も,昨年度に引き続き行った. 以上のような成果が得られたので,本研究は,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に開発した遠隔バックアップ相互保持システムのプロトタイプは,重要な電子情報を復元するのに必要な情報を遠隔保存する機能を有しているが,大規模災害後に迅速な復旧を行うための支援機能はまだ備わっていない.そこで,短時間で安全に復旧を行うための自動復元機能の開発を行う必要がある.このためには,主として,権限のない者による不当な復元を防止する機能と,サービス再開までの時間を短縮するためのオンデマンド再構築機能が必要となるものと予想している. また,クラウド技術やネットワーク仮想化技術の災害対策への応用についても,引き続き検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度の成果取りまとめのため,主として,研究発表・意見交換などのための旅費に使用する.
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Research Products
(11 results)