2013 Fiscal Year Research-status Report
ストレージとネットワークの仮想化による電子情報の遠隔バックアップ技術の開発
Project/Area Number |
23500048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
天野 浩文 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (80231992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 耕二 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 教授 (70252830)
西村 浩二 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (90263673)
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Keywords | バックアップ / ストレージ仮想化 / ネットワーク仮想化 / 秘密分散法 / iSCSI / OpenFlow / クラウド |
Research Abstract |
組織の持つほとんどすべての機能が同時に大きな損害を受けるような大規模災害においても,重要な情報が失われる事態を回避するためには,遠隔地にバックアップを保存することが不可欠である.しかし,個々の組織がそれぞれ個別に遠隔地のバックアップ先を確保するコストは非常に大きいため,同じようなミッションを持ち広域に分散して立地する複数の組織が相互にバックアップを保持することが有効である.しかし,同時に,故意あるいは偶然に秘密情報がバックアップ先に漏洩してしまうことも防止しなければならない. そこで,本研究では,秘密分散法を用いて,複数の組織が互いの秘密を保持したまま大規模災害に備えて安全に遠隔バックアップを相互保持することのできるシステムの開発を目指している. 平成25年度は,大規模災害後に迅速な復旧を行うための支援機能の研究を行った.平成24年度までに開発したシステムでは,原データが失われた場合,遠隔地に保存されているバックアップデータを用いて原データボリューム全体を復元してからサービスを再開させる必要があった.しかし,理論的には,復元に必要な情報がすべて残されているため,全データが事前に復元されていなくても,アクセス要求のあったデータのみその都度復元しながらサービスを行うことが可能である.そこで,災害で失われたボリュームへのアクセス要求のあったブロックをその都度復元するオンデマンド再構築機能の研究開発を行った. また,分散データの保存場所の透過性を高めるため,software designed network および open flow 技術の高度化に関する研究を行った. さらに,バックアップデータの保存先としてストレージクラウドサービスを利用できる場合に,秘密分散と暗号化を組み合わせる方式の研究も行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンデマンド再構築機能の開発を行った結果,データ復元を確実に行うためには,この機能に加えて,残りの未修復データを順次復元していくバックグラウンド再構築機能と組み合わせる必要のあることがわかった.そこで,オンデマンド再構築機能とバックグラウンド再構築機能を合わせ持つ「データ復元デーモン」を開発した. データ復元デーモンは,オンデマンド再構築を行うスレッドとバックグラウンド再構築を行うスレッドを含むマルチスレッドプログラムとして構成した.対象となる被災ボリュームのうちどのブロックが復元済みでどのブロックがまだ復元されていないかを管理するテーブルはこのプロセスのメモリ空間上で共有されるため,両スレッドでこの情報を効率的に共有することができる.また,この管理テーブルをメモリマップトファイル入出力機構によりファイルとしても保存するようにしたため,データ復元デーモンが何らかの理由で停止した場合でも,それまでの復元処理を無駄にすることなく,停止した時点までの処理を続きを再開することができる. これらの開発により,迅速にサービスを再開させるための基本機能は実装することができた. また,ネットワーク仮想化技術およびストレージクラウドサービスの活用に関する検討においても十分な成果が得られた. ただし,仮想化ストレージ装置が大容量のキャッシュメモリを有する場合,データ再構築中にキャッシュ上に一時保存されたデータがただちには物理ストレージに反映されないため,データ復元デーモンが不安定な動作を示すケースが観察された.このため,この部分については,補助事業期間を延長して,さらに解析と検討を続けることとした.
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では平成25年度が本研究課題の最終年度であった.計画していた研究もほぼ達成できたと考えるが,大容量キャッシュを有する仮想化ストレージ装置の挙動についてさらに詳細な解析を行う必要が生じたため,補助事業期間の延長を申請した. この申請が承認されたため,平成26年度には,仮想化ストレージ装置の挙動の詳細な解析を行い,確実なデータ復元を実現するための機能の開発を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究により,迅速にサービスを再開させるために必要な基本機能は実装することができた. ただし,平成26年1月に,当初の予想に反し,大容量のキャッシュメモリを有する仮想化ストレージ装置においてはデータ再構築中にそのキャッシュ上に一時保存されたデータがただちには物理ストレージに反映されないため,データ復元デーモンが不安定な動作を示す現象が観察された.このため,数ヶ月程度の時間をかけて,さらに詳細な解析と追加機能の開発を行う必要が生じた. 本研究課題は,当初計画では平成25年度が最終年度であったが,残された課題の解明を継続するため,補助事業期間延長申請を行い,承認された. 未使用額は,仮想化ストレージ装置の動作の詳細な解析と,キャッシュを制御するための追加機能の開発,および,その成果発表に充当する予定である.
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Research Products
(9 results)