2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500083
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
山崎 克之 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (00432097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 麻希 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (90452086)
山本 寛 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (80451201)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ネットワーク運用技術 |
Research Abstract |
研究代表者と研究分担者が今までに進めてきた新潟県粟島におけるオオミズナギドリの観測・研究をフィールドとし、センサーネットワーク技術を活用した環境観測情報ネットワークの構築と開発を進めている。環境観測のためのセンサーネットワークとしては、センサーノードの省エネ・耐用性などを検討し、最近低コスト化が進んでいるZigBee技術を用いてネットワークを設計した。オオミズナギドリの営巣地である新潟県粟島の日本海側は断崖となっており、電波の見通しが非常に悪い。このため、ZigBeeのマルチホップネットワーク技術を適用することとした。具体的には、分散する8つの巣にセンサーノードを配置し、これを2ホップで道路脇に設営したサーバと接続するネットワークとした。2ホップに伴いセンサーノード~サーバ間の通信帯域が減少するが、観測には問題ないレベルであることを確認した。鳥獣生態学へのセンサーの適用としては、本研究の着手以前に、巣の入口に設置した赤外線センサーでトリの帰巣をとらえることに成功している。しかし、赤外線センサーでは個体(オス・メス)の識別ができない。オオミズナギドリは雛のために餌を取りに日本海を北海道沖まで飛行し、その帰巣には数日を要することがある。また、飛行先と帰巣までの期間はオスとメスでは異なる、と想定されているが、定量的なデータは得られていない。今年度は、RFIDを用いてオス・メス識別を行い、その帰巣パターンの観測を行うこととした。具体的には、耐水性実験も実施した結果、HF帯を使用することとし、コイン型のRFIDタグをプラスチックケースに入れてトリの足に装着した。ループアンテナを巣の入り口に配置したが、ループの大きさを巣の入口と同等とし、トリがアンテナに気付かないようにした。RFIDリーダをセンサーノードに接続し、タグデータを安定かつ継続して収集するシステムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境観測のためのセンサーネットワークとしてZigBeeによるマルチホップネットワーク技術を設計した。オオミズナギドリのオス・メス識別としてRFIDタグを利用した観測方式を設計した。設計・開発したRFIDタグリーダとセンサーネットワークを新潟県粟島において平成23年10月初旬から11月末まで設置し、オオミズナギドリの観測を行った。観測データは問題なく取得でき、オス・メスの帰巣パターンに違いがあることを明らかにした。以上、初年度の目的を達成できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度は、実システムとして10月初旬から11月末に構築・運用した。オオミズナギドリの雛が孵化するのは8月上旬であることから、平成24年度は7月から11月末までネットワークを運用し、データ取得と解析を行う。合わせて、ネットワークの長期運用を実施することで、安定的に動作するネットワークとなるようシステム開発を行う。環境観測ネットワークでは、電源が確保できるかどうかという問題が大きい。ZigBeeは基本的に省エネルギーに適した通信方式であるため(送信データがあるときのみノード側から通信を起動する)、これを有効に活用するネットワーク技術を検討する。具体的には、新潟県粟島においてソーラー発電とバッテリーによる組み合わせで観測できるような方式・システムを目的とする。なお、RFIDリーダ自体はパワーを要するため対象とはしない。赤外線センサーなどの基本的なセンサー、センサーノード、中継ノード、が対象である。また、環境観測ネットワークでは、鳥獣生態学の研究者などICTの専門家以外が容易にネットワークやシステムの設定・運用ができることが求められる。そこで、サーバとしてAndroid端末(具体的にはタブレット)を使うシステムを検討する。サーバソフトをJava上に移植する。運用者はAndroidタブレット上のGUIを用いて、センサーの設定とデータの確認を行う。ICT以外の分野の人たちが積極的にセンサーネットワークを利用することが期待できる。センサーノードにおけるアクチュエータ技術の確立を図る。環境観測では、センサーによるデータ取得も重要であるが、取得データに基づいて何らかの制御を行うことで、有害鳥獣への対策(サルを追い払うなど)ができる。そこで出力技術としてアクチュエータへの連携技術を検討する。アクチュエータの設定などもAndroidタブレット上のGUIで操作できるようにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度と同様、実験実施のための物品、旅費(現地での実験・評価、学会発表、研究打合せ)、を予定する。また、学会発表のための参加費・別刷り代などを予定する。
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Research Products
(3 results)