2011 Fiscal Year Research-status Report
高い匿名性と安全性を有する家庭向けオーバーレイネットワークシステム
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23500085
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
斎藤 彰一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70304186)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 匿名通信 / 分散ハッシュテーブル / オーバレイネットワーク / NAT越え / IDベース暗号 |
Research Abstract |
本年度は、IDベース暗号を用いた安全かつ匿名性を備えた分散ハッシュテーブル(DHT)の検討を行い、その基本設計を終えた。これにより、DHTによる検索時に偽情報を入手することがなくなる。本方式は、通信を行う2ノード以外が通信を行うことはないことから、匿名性を有すると言える。また、IDベース暗号にRSA暗号を組み合わせることで、予備評価では既存のセキュア検索方式と比較しての速度低下を最低限に抑えた。 ノード離脱対策の課題は、2つの方式を検討して実装を行っている。一つは上記セキュア検索を用いる方式である。もう一つは、ノードID割り当て局による事後鍵配布方式である。この方式では、ただ1つのノードに復号鍵を配布することが可能で、これにより複数のノードに復号鍵のコピーが配布されて攻撃に利用されることを防止する。 研究計画では24年度実施予定であったが、NAT環境におけるDHTの実現方式の検討を行った。これは、今後の研究のために、早期に実現した方が良いと考えたためである。DHTでは通常、任意のノードと通信できることを前提としているが、NAT環境対応では任意のノードとの通信はできない。そのため、任意のノードから接続できるグローバルIPアドレスを有するノードとNAT配下にあるノードを参加時に区別する方式を検討し、プロトタイプシステムを構築した。これにより、NAT配下にあるノードがDHTに参加できることを確認した。今後は、この方式を匿名通信方式に組み込む計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題の内の経路情報の漏えいや安全な経路検索に関する設計はほぼ終えたと言える。今後は、実際にシステムを構築し、想定通りの動作が可能かまた性能評価を順次行う。また、ノードの異常離脱の課題については、複数の提案を検討しており、これも実装途中である。家庭内環境においては、NAT環境におけるDHTに対する基本的な方式の検討が完了した。今後は、匿名性の検討や実際にシステムに組み込む必要がある。 しかし、匿名通信に適したDHTの検討や、検索時の匿名性向上の検討が不十分である。このため、今年度はこれらの課題について取り組む必要がある。 全体を見て、研究は予定通りに進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の検討結果を踏まえて、実装と性能評価を中心に取り組む。また、その結果を国際会議やジャーナル論文へと投稿する計画である。また、検討が十分できなかった課題については、検討を継続して提案方式に組み込む計画である。 特に、家庭用端末としてスマートフォンやタブレット端末が急速に主流になりつつある。そのため、本研究においてもこれらを主要ターゲットとして組み入れ、これら用の匿名通信方式の検討を行うとともに開発を行う計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究は検討が中心となり具体的な評価にまでは至らなかった。そのため、国際会議参加やジャーナル論文投稿が翌年度へと持ち越しとなった。そのため、これらのための予算がそのまま繰り越しとなった。よって、予算計画に大きな変更はなく、前年度の国際会議参加やジャーナル論文の掲載料を翌年度執行する予定である。なお、ジャーナル論文については5月に掲載が決定している。
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Research Products
(1 results)