2011 Fiscal Year Research-status Report
物流システムに対するプロセス代数を用いた配送監視システムの構築に関する研究
Project/Area Number |
23500104
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
加藤 暢 近畿大学, 理工学部, 准教授 (00330233)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 物流システム / モデル検査 / プロセス代数 / Ambient Calculus |
Research Abstract |
初年度(23年度)は,本研究の最終的な目的であるコンテナ海上輸送システムに対する監視システムの構築と実験を行うための準備として,次の2項目を実施した. 1. 物流監視システムを構築するためには,船,港,コンテナヤード,コンテナなどに分散されたプロセス式を適切に処理する分散処理系が必要である.我々がこれまでに構築してきた実行環境を元に,ネットワーク上でAmbient Calculus のプロセスが動作できるより高性能な実行環境を構築した. 2. 本研究ではこれまで,数10cm の到達距離を持つRFID 機器を使用した研究室内レベルの実験のみを行ってきた.本年度は本助成を得る前に導入したUHF 帯を使用するより高性能なRFID 機器2 台と本助成により購入した1台の計3台を利用し,より規模の大きな実験を行った.以上の成果を平成24年3月7日に開催された第74回情報処理学会全国大会にて発表した(共著ただし主著以外).上記の当初予定の研究以外に,物流記述方法そのものを見直しより効率的な処理を行うための言語である多重Ambient Calculusを提案し,その理論的な性質を議論する研究を行い,情報処理学会論文誌に採録された(共著ただし主著以外). また,その言語により記述された物流システムの性質を検証するためのモデル検査システムを実装し,従来のモデル検査システムでは対応できなかった大規模な輸送にも本システムを適用できることを示す研究を行い,情報処理学会論文誌に採録された(共著ただし主著以外).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,Ambient Calculus を用い,大規模な物流システムにおける貨物配送の監視,及び物流システムに対するモデル検査を行うことのできるシステムの構築を目的とする.この目的を達成するための初年度の計画はAmbient Calculus の分散処理系の構築とUHF帯を利用した高性能なRFID機器を用いた物流監視実験であり、その両方共行うことができた.ただしこれらについて雑誌投稿をするには至っておらず,24年度はこれらの結果を早急に投稿し採録を目指す.
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Strategy for Future Research Activity |
24年度は,次の2項目の研究を実施する予定である.1. 実際の海上貨物輸送では,いくつものフィーダー港から発送されたコンテナが,大規模なハブ港に集約され,さらに別のハブ港を経由して,目的地のフィーダ港へ輸送される.またその経路上で積み込み,積み降ろしが発生する.そのような輸送動作を形式的に表現するための研究を実施する.2. 本研究では現在,書類から生成されたプロセス式を船や港を表すPC,及びRFID タグに分散させる処理を手作業で行っているが,実際の物流システムに本監視システムを適用するためには,式の分散を自動化する方法を確立する必要がある.特に大量のコンテナに付けられたRFID タグに式を正確にかつ自動的に分散する方法の確立が重要となる.24年度は,式を分散する実験を行うため,23年度に引き続き RFID 機器を1台購入する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
上記のRFID機器の仕様が変更になり,それに伴い50万円だった価格が77万円に値上げされ,それに対応するために23年度の予算の一部を繰越し,24年度に1台購入できるようにした.24年度は,繰越金と合わせ130万円の予算を下記のように使用する予定である.RFID リーダライタ装置 三菱RF-RW004 1台 77万円,タブレット端末 3台 15万円,旅費30万円,人件費・謝金(英文添削等) 8万円.RFID リーダライタ装置は本研究で中心的な役割を担うものであり,その使用方法は概要や推進方策に示した通りである.24年度は屋外での実験が多くなり,屋外でこれらの機器を操作するためのタブレット型端末3台の購入を予定している.さらに、これらの結果を国際会議で発表するための旅費,及び投稿論文の英語を添削してもらうための経費を合わせて予定している.
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