2011 Fiscal Year Research-status Report
民俗芸能の舞踊の伝承を支援するための電子博物館の構築に関する研究
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23500108
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
玉本 英夫 秋田大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10108920)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | コンテンツ・アーカイブ / バーチャルリアリティ / 電子博物館 / 民俗芸能 / 伝承技術 / モーションキャプチャ |
Research Abstract |
本研究では、民俗芸能の舞踊の伝承に資するために、電子博物館を構築して、舞踊の人文学的意義、芸術性、伝承技術を統合して広く公開することを目指す。平成23年度は、要素技術となる次のようなWebアプリケーション(以下、アプリ)を開発した。 モーションキャプチャ(MoCap)を用いて記録した舞踊の動作データをCGによる再現し、Webブラウザ(以下、ブラウザ)で閲覧できるアプリを開発した。このアプリは、Mocapデータ選択用Webページとビューアで構成される。閲覧者はブラウザを用いてこのWebページにアクセスし、舞踊を選択する。選択した舞踊のMoCapデータとビューアはブラウザ内にダウンロードされ、舞踊のCGが表示される。このとき、別ウィンドウに表示されるコントローラのボタンをマウスで操作し、自由に視点を変えて閲覧できる。 閲覧者の体型のCGモデルで舞踊を再現するアプリを開発した。このアプリは、画像アップローダ、モデルクリエーター、ビューアで構成される。閲覧者が画像アップローダを用いて自身の全身写真をアップロードするとモデルクリエーターが起動し、閲覧者の写真上に骨格モデル(関節と骨)が表示される。閲覧者は、マウスを用いて骨格モデルの関節を写真上の自身の関節に合わせるように移動して、自身の骨格モデルを入力する。そうすると閲覧者のCGモデルが生成され、このモデルのMoCapデータが合成される。このデータをビューアで閲覧すると、閲覧者の体型のCGモデルが演技を行う。 MoCapデータを再現した舞踊のCGの動きを解説するコンテンツを簡易に制作できるソフトウェアを開発している。このソフトウェアに含まれるビューアを改良し、データベースにある解説コンテンツをブラウザ上で閲覧できるアプリを開発した。閲覧者がブラウザ上で舞踊を選択すると、舞踊の解説と解説部位が強調された解説コンテンツを閲覧できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、電子博物館構築の要素技術となる次の三種類のWebアプリケーションの開発を目指した。1)舞踊データをwebや公共施設に設置したコンピュータで利用するとき、舞踊符データベースの舞踊符データはインターネット経由でストリーミング配信する方式が効果的である。そこで、舞踊符データを配信するための効率的なストリーミング方式、および、ストリーミング配信された舞踊符データを使って舞踊を3次元CGで表示するためのwebアプリケーションを開発する。2)デジカメで撮影した閲覧者(学習者)の全身写真から骨格モデルを作成し、学習者の体型のモデルが教師の動作データで演技する模範演技CGを制作する技術を開発している。webブラウザでこの技術を使えるようにするために、webアプリケーションを開発する。自動で制作した模範演技のCGを学習者に送信し、学習者は模範演技を見ながら舞踊の学習を行うことができる。3)舞踊動作解説用CGコンテンツ制作ツールを使って舞踊の動作の意味や意図を解説する解説コンテンツを作成し、そのコンテンツを閲覧するためのwebアプリケーションの開発を行う。 これら三種類のWebアプリケーションをサーバに置き、ブラウザを使って実証実験を行った。所望の動作することが確認でき、平成24年度以降に構築する電子博物館の要素技術の開発ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
学習者の習熟度を評価し舞踊の学習を支援するためには、学習者の動作を計測する必要がある。これまでの研究ではモーションキャプチャを使用したが、伝承技術を広く公開する電子博物館では、モーションキャプチャを使用することは現実的ではない。そこで、モーションキャプチャに代わる簡易な装置として、1)Webカメラを使って学習者の動作を撮影し、画像処理を行って動作を計測できる装置、2)キネクトを使って動作を計測できる装置、2)ジャイロや加速度センサを使って、動作を計測できる装置、等を開発する。 次いで、舞踊の習熟度の評価するための手法を開発する。簡易な動作計測装置を用いて学習者の動作を入力し、学習者が、教師の姿勢との違いを目視で、また、体の部位の姿勢や動作速度の違いを定量的に確認できるWebアプリケーションを開発する。学習者は自分の演技と模範演技(教師の演技)を観察しながら、習熟度の自己評価ができる。このWebアプリケーションと平成23年度に開発したWebアプリケーションを用いて、舞踊の鑑賞や舞踊の伝承技術の利用ができる電子博物館のプロトタイプを開発する。 引き続き、民俗芸能の舞踊が持つ人文学的意義や芸術性を紹介するコンテンツを制作する。これらのコンテンツ制作には専門知識が要求されるので、「わらび座」や地域の保存会と共同で作業を行う。 最後に、電子博物館のブースの構成や順路などの構造設計を支援するオーサリングツールを開発し、このオーサリングツールを使って、民俗芸能の舞踊の伝承に資するために、舞踊の人文学的意義、芸術性、伝承技術を統合して公開できる電子博物館を構築する。構築した電子博物館は、インターネットを使って広く一般に公開する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Webアプリケーションを開発するため、また、Webアプリケーションの動作確認を行うために、パソコンを購入する。 簡易な動作計測装置を実現するために、Webカメラ、キネクト、ジャイロ・加速度センサ等を購入し、実験を行う。 調査、成果発表のために、旅費を計上する。ソフト開発、実証実験の補助のために、謝金を計上する。研究成果を発表するために投稿料を計上する。
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Research Products
(9 results)