2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500134
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
盛川 浩志 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (90386673)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | クロスモーダル / 錯覚 / バーチャルリアリティ / コンテンツ / 触覚 / HMD |
Research Abstract |
本研究課題では、視触覚刺激のクロスモーダル刺激による触運動錯覚の呈示手法を、新しいコンテンツ表現へ応用することを目的として、刺激の表現技術の開発やその評価方法について、検討を行っている。初年度の研究においては、刺激呈示に関する基礎的な知見の収集と実験システムの構築、コンテンツ制作を行った。刺激呈示に関わる知見として、刺激呈示部位および視覚刺激における表現のクオリティを要因とした基礎実験から、錯覚呈示の対象部位についての知見を得た。具体的には、これまで対象としていた手の他に、腕や足といった部位にも錯覚が誘発されることが明らかとなった。また、視覚刺激のクオリティに関しても、人工的な身体映像も許容されることがわかり、バーチャルリアリティによるインタラクティブシステムでの、実装における要件についても知見が得られた。触運動錯覚の呈示によるアプリケーション開発の試作において、シースルー型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)やスマートフォンといった、次世代のメディアデバイスの応用可能性について、検討を行った。シースルー型HMDにおける映像視聴体験の評価によって、一般のディスプレイデバイスと同様の視聴が可能であることを確認した。さらに、立体像が実空間の風景よりも手前に呈示されるというシースルー型HMDの特性を利用した、新たな触錯覚呈示方法についての着想を得た。HMDによる触錯覚呈示については、次年度以降、その基礎的知見について検証を行っていく。スマートフォンに代表される、ユビキタスデバイスでのコンテンツ応用については、プログラムの試作を通して、その実装方法の検討を行った。触運動錯覚の呈示を行うためのハードウェアの要件や、錯覚の呈示によって可能となる情報提示の効果について、より具体的な検討が必要であると示唆され、次年度以降も引き続き検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、実験システムの構築やそれに関わる基礎的な知見の収集については、概ね順調な検討が進められている。一方で、評価システムの検討については、より詳細な検討が必要なことが明らかとなったため、次年度以降も引き続き検討を進めていく。また、実験システム開発において、さまざまな形態での錯覚呈示方法を検討していく中で、ユビキタスデバイスでの映像呈示環境を利用した、新たな錯覚の誘発手法について着想が得られた。この錯覚についても、その発生要件に関わる研究を行うことで、当初の研究計画を発展させる形で、成果が期待できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
触運動錯覚の呈示システムとして、実験環境としての構築はほぼ完了している。今後の研究の進め方として、具体的なコンテンツとしての実装が必要であると考えられた。次年度は、アプリケーションとしての触運動錯覚の応用について、コンテンツ開発とその効果についての評価を行っていく。錯覚の評価方法については、初年度における研究の結果、より規模を拡大しての検討が必要であることが示唆された。特に、個人ごとの錯覚発生パターンや強度の差について、実験的に検討する手法の構築が必要である。そのため、次年度以降の研究においても、脳機能計測や生理視標を用いた錯覚の評価手法について検討を行っていく。さらに初年度の研究成果としては、HMDなどのユビキタスデバイスによる映像呈示系を利用することで、新たな錯覚呈示手法が開発できる可能性が示唆された。錯覚呈示手法の確立や、これまでのシステムとの統合を目指して、開発を進めていく。具体的には、呈示する映像刺激の要件やインタラクションの構築方法などについて、基礎的な知見を収集していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度においては、コンテンツ開発ならびに評価システムの構築を中心に研究費を使用していく。さらに、新たな錯覚呈示手法の開発についても、基礎的な知見の収集を行っていく。コンテンツ開発については、より完成度を向上させるためにも、クオリティの高い映像刺激、アプリケーション開発が必要である。そのため、研究費の使用計画として、クリエータの雇用や開発環境の導入についても検討する。初年度の研究成果の発表についても、特に国際会議での発表を積極的に行っていく予定である。また、コンテンツとしての公開を検討し、コンテンツ産業への寄与を目指していく。特に、初年度の研究によって、新たな錯覚呈示手法の開発が期待されたことから、特許化を視野に入れて研究を行っていく。
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