2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23500153
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
黒須 正明 放送大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30283328)
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Keywords | ユーザエクスペリエンス / ユーザビリティ / プロセス / RX / サービス / XE |
Research Abstract |
前年度は、UX(User Experience)の評価用語について、GOB,POB,SOBという概念を提起し、それぞれに該当する概念を明確化したが、今年度は、UXに関するプロセスモデル的な検討を行った。すなわち、UXは、ユーザの必要性や願望からスタートし、外部から得られる情報(具体的には企業から直接提供される製品情報や、雑誌やウェブによる情報)にもとづいて期待や予測が構成され、ついで、製品に触れ、購入を決定し、購入後の短期利用や、その後の継続的な長期利用を経て廃棄に至る一連のプロセスと考えられる。すなわち、UXの評価は、その各段階で行われるべきものであり、それぞれに異なる評価方法を考えねばならない。 さらに、製品やシステムの利用だけでなく、サービスの利用を考えたときには、それは使う(useする)ものではない点に注意する必要がある。つまり、病院で医師や看護師による治療を受けるとき、患者は彼らを「使っている」のではなく、その治療を「受けている」。学校で教師による教育を受けているときも同様である。このことから、UXという表現はサービスには適切ではなく、その場合は強いていうならRX(Recipient Experience)となる。このRXについては、サービスの同時性や消滅性といった特徴から、上記モデルのうち、購入に相当するサービスの受容で完了するプロセスとなる。 さらに、サービスという概念についても、それをClark以来、産業標準分類にも用いられている第三次産業のように、産業として区別するのではなく、各産業における活動として位置づける必要があることも明らかにした。いいかえれば、機器やシステムの場合は、第二次産業に属するが、製品購入後のユーザ窓口での相談係はサービス活動である。 このことから、XE(Experience Engineering)という考え方の提案に至った
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は、UXという概念の見直しを行い、そのプロセスモデルの検討を行った。さらに製品やシステムだけでなく、サービスという概念も対象に含め、その扱いが製品やシステムと比較して、プロセス的にも異なること、および、UXというよりはRXと呼ぶべきものであることを明らかにした。その上で、UXという概念よりはXEという考え方の方が一般的であり、適切であると考えられた。 これらの考え方は、本研究における評価対象の範囲を明確にするものであり、2013年度における評価手法の検討において、どのような手法を採用すべきかにも関連してくるものである。 こうした成果は、放送大学年報に論文として掲載したほか、HCI International 2013、APCHI 2013という国際会議で発表することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究では、2012年度に明らかになった製品やシステムとサービスという二つの異なる対象領域について、必要性・願望、期待・予測、利用(即時的利用、短期的利用、長期的利用を含む)、廃棄、廃棄後の印象、といったプロセスに関して評価を行うための手法の選択(一部は新規作成)に取り組む。 また、前年度の成果を国際会議で発表し、さらに3年間の成果を研究報告書としてまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度成果の国際会議での発表のための費用、評価手法の作成のための調査費用、報告書作成の費用として使用する。
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Research Products
(7 results)